オトコのメス化とか草食系男子とかいうことが言われて久しいですが、葉隠の時代はどうだったのでしょうか?

 葉隠は、ご存じの人もいるかと思いますが、佐賀藩の2代藩主・鍋島光茂の家臣である山本常朝という人の言葉を田代陣基という佐賀藩士が書き留めて編集したものです。この書簡が完成したのは1717年頃だそうです。関ヶ原の合戦が1600年ですから、関ヶ原から117年も経っています。徳川時代の安定期でもあり、言うまでもなく戦国の気風などなかったに違いありません。

 そうは言っても武家社会です。現代社会のようにオトコがメス化しているとは思えません。

 でも、おもしろいことに葉隠にこんな話が出てきます。


 「今時分の男を見るに、いかにも女脈にてあるべしと思はるるが多く候。あれは男なりと見ゆるはまれなり。今時、少し力み申し候えば、安く上手取るはずなり」

 当時は、メス化とか草食系とかいう言葉はもちろんありませんが、女脈(おんなみゃく)と表現したようです。当時は医学があまり発達してませんでしたから、男と女では脈が異なると信じられていたそうです。なので、男のくせに女みたいだと、「女脈」と言われたとか…。

 葉隠からも分かるように、武家社会でさえも平和だとオトコはメス化するようです。

 ということは、草食系男子の台頭は、大局的にみるとよいことなのかもしれませんね。世の中が平和である証拠ですから…。

 ちなみに、上の文章の中の「少し力み申し候えば、安く上手取るはずなり」の意味分かりますか?

 「ちょっと努力すれば簡単に出世できるはずだ」という意味です。これは武家社会の利点ですね。どんなにオトコがメス化しても、武家社会は男性社会です。ライバルであるはずのオトコがメス化しているわけですから、出世競争も楽です。

 でも、現代社会ではそうはいきません。

 確かに、オトコのライバルは大したことないヤツばかりかもしれませんが、その代わりに「オス化したオンナ」が台頭しているからです。これからの時代、オトコのライバルは、この「オス化したオンナ」たちです。

 このように考えると、メス化したオトコたちにとっては、武家社会のほうがマシかもしれませんね。