百人一首のなかに登場する和歌の中で、2つお気に入りの和歌があります。


   逢い見ての 後の心に くらぶれば

      昔はものを 思はざりけり


 これは30代後半で他界した藤原敦忠の作品です。かなりのイケメンだったといわれていますが、そんなことはどうでもいいです。

 この和歌の意味、わかりますよね。

 簡単に訳すと、「君をモノにした後の気持ちに比べれば、それ以前のボクの気持ちなんて大したことなかったんだなあ」といっているんです。

 これって、けっこうすごくないですか?

 普通は逆ですよね。

 好きな女をモノにするまでは気持ちがたかぶっているけれど、一旦モノにしてしまうと急激に冷めてしまう…。
 ところが、この歌は、モノにした後の方がのめり込んでいくと歌っているんです。

 こんな女をモノにしたら最高ですよね!

 えっ、うちの女房ですか?もちろん、うちの女房の話をしているんですよ…。


 もうひとつの好きな和歌。


  君がため 惜しからざりし 命さえへ

     長くもがなと 思ひけるかな


 これは藤原義孝の作品です。
 これもいい女をモノにした後の心情の変化がイケてます。

 どういう意味かというと、「君をモノにできるなら命さえいらないと思ったけど、いざモノにしてみたら長生きしたくなった」という意味です。う~ん、なるほど…。

 普通は逆ですよね。

 いざモノにしてみたら、別の女を口説きたくなるものです。

 いや~、こんな女に出会って見たいものです。

 えっ、うちの女房ですか?そうだ、もう出会ってました…。