弁護士 金﨑 浩之 

 前回は、司法修習生のための就活のポイントを書かせてもらいましたが、もうひとつ、付け加えたいことがあります。

 それは、内定を出すときまでに、勤務弁護士の年俸(給与)を説明しない法律事務所です。

 実は、こういう法律事務所、けっこうたくさんあるんです。

 しかも、年俸提示をしないからと言って、そういった事務所の全てが問題のある事務所かというと、そうとは限らないので厄介です。
 聴いた話ですと、いわゆる”四大”の中にも年俸提示をしない事務所があるそうです。

 年俸の説明がない事務所の何が問題かというと、いざ就職してみたら、初回の給料で、十数万円しか支払ってもらえなかった、というウソのような話が現実にあるからです!
 ボクが知っている実例だと、もらった給料(月額)は、額面で18万円、そこから税金が引かれ、弁護士会の会費も自己負担で、可処分所得は15万円を切ってしまったとか…。
 ボクの知る限りでは、このようなふざけた事務所が東京にも大阪にも一定数あるそうです。

 フタを開けてみたらこんな事務所だった、なんてことになると大変です。

 すぐにでも辞めたいと思うでしょうが、転職活動は不利になります。所属事務所を2~3ヶ月で飛び出すような勤務弁護士に対して、求人をだしている法律事務所の多くは警戒心を持っているからです。

 であれば、このような法律事務所には初めから就職しないにかぎります。

 お金の話なので、修習生から聴きずらいのは分かりますが、年俸提示がない場合、しっかり確認することが重要です。
 そのことを不快に思い、内定を出さないような法律事務所など、最初から就職しない方がよいと思います。

 司法修習生の就職難という足元を見た、悪質なブラック事務所だと思います。

 皆さん、十分に気をつけましょう。