弁護士 金﨑 浩之 

 今、弁護士会で、何らかの形で弁護士報酬規程を復活させるべきではないか、という議論が起こっています。

 昔は、弁護士が依頼者からいただく弁護士報酬について、弁護士会が報酬規程を定め、弁護士報酬の上限と下限を決めていました。
 つまり、弁護士は、依頼者に請求する報酬額を定めるに際し、報酬規程の上限と下限の間の金額で決めなければならず、その上限を超える報酬をもらってはいけないし、またその下限を下回る報酬でもいけないとされていたのです。

 かつては、このような報酬規程を税理士会も定めており、その報酬規程に違反した税理士を処分したところ、裁判沙汰になりました。
 そして、裁判所は、税理士会の報酬規程を独禁法違反だと判断して、処分された税理士が勝訴したんです。

 この事件を契機として、税理士会は、先駆けて報酬規程を撤廃したそうです。

 ところが、弁護士会では、比較的最近まで残っていました。報酬規程に違反する会員弁護士がいても、それを理由に処分したりしなかったため、紛争にならなかったんですね。紛争にならなければ裁判にもなりません。

 しかし、税理士会の報酬規程が独禁法違反であるのに、弁護士会の報酬規程はそうでないという理屈は立ちにくい。クライアントの保護と弁護士に対する信頼の確保という大義名分はあるにせよ、価格カルテルであることに変わりはないですから。

 こうして、弁護士会も報酬規程を何年か前に撤廃したんです。

 ところが、弁護士報酬が自由化されて久しいですが、ここにきて、弊害や問題が生じてきたようなんです。

 旧来の弁護士報酬規程がそのまま復活するのかどうかはともかく、何らかのルール作りは必要なのではないか、という問題意識です。

 この議論、おもしろいので日を改めて取り上げます。