弁護士 金﨑 浩之 

 今日、大田区の大森でアマチュアボクシングの公式戦試合があり、八王子中屋ジムの選手が出場していたため、応援に行きました。

 試合が終わった後、みんなで食事に行ったのですが、面白い話題になりました。

 たまたま一緒に食事した選手たちは、ルックスもよく、女性にもてそうな感じがするのですが、ガールフレンドがいないということでした。
 しかも、ここ何年かいないみたいな…。

 そう言えば、ボクシングやってる人(正確に言えば、マジにやってる人)って、彼女のいない人が多いような印象があります。

 ボクが食事の席で、「ガールフレンド作らないの?」って訊ねたら、「ボクサーとして大成したかったら、ガールフレンドを作らないほうがいい」、という意見もあったっんです。

 その理由は、女にのめり込んでしまったら、ボクシングどころではなくなるから、だということです。

 この意見を聞いたとき、「ボクサーって、考え方が真面目なんだな…」と思いました。

 確かに、プロのアスリートとして一流になるのは大変です。司法試験に合格するのとは比較にならないほどの難関です。
 その過程では、様々な誘惑を断ち切る高い自己管理能力が必要だと思います。

 でも、ボクの偏見かもしれませんが、プロ野球選手やJリーガーは、鼻の下伸ばして合コンばっかりやっているイメージがあります。いや、これは偏見ではなくて正論でしよう(笑)。
 でも、だからといって、例えばイチロー選手が、ボクシングの世界チャンピオンと比べて劣っているとは思えません。
 一流のアスリートであることと女遊びを立派(?)に両立させている人の例はたくさんあるのではないかと思うのです。

 この話で思い出すのは、ボクサーと言えば、「ハングリー」というキーワードです。
 ボクサーって、ハングリーなイメージがあります。このハングリーって、減量のために食事を我慢するからお腹がすいているという意味ではありません(笑)。
 ボクサーのメンタリティーを象徴している言葉なんです。

 でも、なぜか野球やサッカーではハングリーさなんて特に奨励されていません。どんなスポーツでも、一流になるのは大変なことに変わりはないのに。

 たぶん、これはプロボクシングの歴史的背景があるんじゃないか、と思いました。
 つまり、”あしたのジョー”ですよ、”あしたのジョー”!

 野球やサッカーのような華やかな世界とは違って、ボクシングっていうと、”あしたのジョー”に象徴されるように、落ちこぼれや不良少年が”拳ひとつでのし上がっていくサクセスストーリー”っていうイメージがあります。

 要するに、野球選手やサッカー選手とは、スタートラインが違うんですね。ボクシングの世界では、”落ちこぼれの成り上がり”を象徴する言葉として、”ハングリー”という言葉で美化されてきたのではないか、と思うのです。

 でも、今は”あしたのジョー”の時代ではありません。

 ボクは、ボクサーのみなさんにも、もう少し楽に考えてもらって、ボクシング以外のプライベートも充実させて、人生楽しんでもらいたいと思います。