978-4-8030-0456-4






























 これは、先日出版されたボクの著書ですが、交渉テクニックの本なのに、どうして、「交渉をまとめるな」というタイトルになっているのか、疑問に思う人もいるかもしれません。

 そこで、ちょっとこの本の中のエッセンスを紹介しちゃいたいと思います。

 ボクの長年の経験から言えることは、有能な交渉人は、交渉決裂という選択肢を常に持っているという逆説です。
 結局、交渉力は、映画で出てくるような”口の上手さ”や”粘り強さ”ではなく、文字通り、”バーゲニング・パワー”なのです。
 そして、交渉をまとめる以外に選択肢がないということは、それだけ不利な立場にたたされてしまいます。ほかに選択肢がないのだから、相手の要求をのむしかなくなります。
 したがって、”交渉を絶対にまとめよう”という姿勢は問題で、交渉で有利な立場に立つ(すなわち、こちらがバーゲニング・パワーを握る)ためには、交渉決裂という選択肢を常に持っておく必要があるのです。

 これは裏返せば、”絶対に交渉をまとめたい”という利害状況に相手を追い込めれば、こちらが有利になることを意味します。つまり、相手から”交渉決裂”という選択肢を奪うんです。相手は交渉成立を強く希望しているのに、こちらは交渉決裂でもよいと考えているのであれば、この交渉は極めてこちらに有利です。

 交渉術とは、要するに、こちらのバーゲニング・パワーを強め、相手のバーゲニング・パワーを弱めるための技術と定義できます。

 そんなボクの思いから、こんなタイトルになったんです。

 そして、重要なことは、このバーゲニング・パワーが、はじめから交渉当事者のどちらにあるかが決まっていて、最後まで変わらないというわけではない(もし変わらないのであれば、勝負は最初から決まっていて、交渉術など必要ありません)。様々なテクニックを使って、立場を逆転させることも可能である、ということを認識することです。
 そのためのテクニックがまさに交渉術なのです。

 あ、これ以上書くと出版社に叱られますので、その先を知りたい人は、買って読んでくださいね(笑)。