① 京都地裁平成14年6月6日判決

 今回事故による加重障害の症状を前提に逸失利益を算定した上で、今回事故による受傷がなかった場合(既存障害のみによる)逸失利益を控除する方法によった裁判例です。

② 札幌地裁昭和61年2月14日判決

 既存障害で8級、今回事故で加重障害5級の後遺障害を負った事案で、加重障害から既存障害の労働能力喪失率を控除するのは相当でないとして、労働能力喪失率を「65%」とした裁判例です。
 自賠法上の単純な差引であれば、79%(5級の喪失率)-45%(8級の喪失率)=34%となるはずですが、この方式によるのは相当でないとしました。

③ 大阪地裁平11年3月26日判決

 既存障害で12級、今回事故で加重障害1級の後遺障害を負った事案で、前回事故が約10年前の事故であること等を理由として、既存障害は減額事由にならないとした裁判例です。
 そもそも差引自体を否定しています。