2.親が交通事故の賠償責任を負う場合とは?

 下記の3つのパターンに当てはまる場合には、子供が起こした交通事故について親も損害賠償責任を負わなければなりません。

(1)小学生が事故を起こした場合

 小学生や幼稚園児(責任無能力者)が交通事故を起こした場合には、被害者は加害者の両親等に対して監督者責任(民法714条1項)を追及することができます。
 なお、加害者の両親は子供に対する「監督義務を怠らなかったこと」を立証すれば法的責任を免れることが出来ますが(民法714条但書前段)、この反論を裁判所に認めてもらうことは極めて困難です。

(2)中学生以上の子供が事故を起こした場合

 中学生以上の子供が交通事故を起こした場合でも、被害者は加害者の両親が監督義務を怠ったことに「よって」事故の結果が発生したことを立証できれば、加害者の両親に対して損害賠償請求をすることができます(民法709条)。
 具体的には、①親が子供の危険な運転行為を現認しながら注意をしていない場合、②子供の事故歴や前科前歴からすると交通法規に違反した運転をする蓋然性が高いにもかかわらず運転を禁止しなかった場合、③子供の体調不良等により事故の発生が予見できたにもかかわらず運転を禁止しなかった場合等には、両親に対する損害賠償請求が認められる可能性があります。

(3)運行供用者責任を負う場合

 事故を起こした自動車の所有者が親である場合や、子供名義であっても親の資金で購入・維持管理している場合等には、両親の損害賠償責任が認められる可能性があります(自賠法3条)。