1「変形性膝関節症」

=関節軟骨の変性を基盤とした非炎症性の疾患

(1)原因

●一次性関節症:原因不明
肥満の初老期以降の女性に多い
中年期以降の急速な体重増加、閉経・加齢による変化に力学的負荷が加わり発症

●二次性関節症:原因明らか
外傷、形態異常、半月損傷、靭帯損傷、軟骨損傷、滑膜炎、腫瘍、筋力低下など

(2)症状

●自覚
立ち上がり時の疼痛、膝が伸びにくいなど

●他覚
初期→変形、腫脹は軽い。圧痛有。
進行→関節液が多量に貯留。圧痛、他動運動痛、轢音、腫大、可動域制限、変形など

(3)治療

①保存療法
②手術療法
比較的若く変性が関節全体に及んでいない→骨切り術
末期で年齢60~70歳以上→人工膝単顆置換術や人工膝関節置換術

2 人工膝関節置換術

疼痛と歩行能力著しく改善
長期の術後療法不要
術後の満足度高い、臨床成績ほぼ一定

(1)合併症

肺塞栓症

早期
→関節血腫、創癒合不全、感染、膝蓋腱断裂、腓骨神経麻痺、脱臼、可動域制限、骨折など

晩期
→感染、ポリエチレンの摩耗、人工関節の緩みや破損、骨折、膝蓋骨脱臼、可動域制限、関節拘縮など
⇒十分な説明要

(2)手技

固定法の種類
=セメント固定、プレスフィット固定、物理学的固定、スクリュー固定 etc
機能の再建に優れた手術法だが、正しい手術手技と経験要する
術後の機能訓練重要

3 人工膝関節置換術の手技上の過失に関する裁判例

東京地判平成20年1月21日

患者は、医師には、人工膝関節置換術において
①不適切な手技により、誤ってメス又は鋏等の器具で膝窩動脈を断裂、離断させた注意義務違、
②過伸展による血管損傷を引き起こした義務違反
  があると主張。
 ⇒裁判所の判断
①についてはメス等による断裂を否定
②については、強い外力が加わったのは,20度の屈曲拘縮が生じていたこと,後十字靭帯を切除していたこと,膝後方の部分の癒着がひどかったことなどが影響していたと考えられるが、医師がこのような事態に至るのを事前に予見できなかったとして過失否定。

参考文献
国分正一ほか『標準整形外科学 第10版』医学書院、2008
岩本幸英ほか『整形外科学・外傷学 第7版』文光堂、2005

弁護士 池田実佐子