(1)胃がんとは何か。

 胃がんとは、胃粘膜に発生する悪性腫瘍である。
 癌の浸潤の程度により、早期胃がんと進行胃がんに分けられる。
 ほとんどが、腺がんである。

(2)胃がんの症状

 ①消化不良、②早期の満腹感、③嚥下障害(癌が食堂の出口を閉塞した場合)など。
 一般的には、胃がんに特異的な症状はなく、特に早期の胃がんでは、無症状である場合が多いので注意が必要である。

(3)胃がんの診断

 ①多数の生検およびブラシ擦過細胞診を伴う内視鏡検査、②バリウムX線検査、③胸部及び腹部のCT検査(癌が確認された場合に進展範囲を確定するため)
 など。

(4)胃がんの治療方法

内科的治療方法

 ①内視鏡的粘膜下層剥離術、②APCによる焼灼術、③PDT
 など。

外科的治療法

 ①胃全摘手術、②亜全摘手術、③縮小除術、④拡大手術
 など。

化学療法

 5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、マイトマイシン、シスプラチンまたはロイコボリンの併用
 など。

(5)裁判例

①最判平成16年1月15日判タ1147号152頁等

 スキルス胃がんの見落としと生存可能性との間の因果関係の存否が問題となった事案で、医師が適切な再検査を行っていれば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性があったとして医師に診療契約上の債務不履行責任があるとされた事例。

②東京地方裁判所平成15年12月24日判決

 胃がんの切除治療を行う際に、必要なリンパ節郭清を怠り、がんが移転しやすい状態を発生させて、胃がんが肝臓に転移したことを見逃し、治療効果がない肝切除を行い、患者を死亡させたことにつき、損害賠償請求が認められた事案。

③東京地方裁判所平成17年1月24日判決

 胃がんと診断されて、幽門側胃切除術を受けた患者が、術後の加療中に十二指腸動脈瘤破裂により出血を起こし、多臓器不全で死亡したが、損が賠償請求が認められなかった事案。

③福岡地方裁判所平成16年2月12日判決

 医師が、必要な確定診断をせずに患者がⅢ期の乳がんに罹患していると診断して乳房切除等の治療を行ったが、検査の結果、患者は非浸潤性乳管がんを罹患していたことが判明し、患者の慰謝料請求が認められた事案。

弁護士 藤田 大輔