フェイスリフト
下垂した皮膚を引き上げることで輪郭やたるみ、大じわを矯正する治療

1 手技

①デザイン
切開する線をデザイン

②皮膚剥離範囲 側頭部は生え際より2横指 耳の前の部分は耳珠より3横指 首は耳垂より首に向かって3横指 耳の後ろは耳介側頭溝より3横指 これらをむすんだところが剥離の範囲

③局所麻酔

④皮膚剥離  切開線に沿って切開後、最初の1㎝はメスで剥離  フェイスリフト尖鋏でできるだけ浅い位置で剥離  側頭部のみ神経損傷を避けるため指で剥離がよい  剥離部分にガーゼタンポンを挿入し、完全に剥離しているか確認するとともに、一枚ずつ取り除き確実に止血。

⑤脂肪吸引等  カニューラで広頚筋上の蓄積した脂肪を除去等

⑥縫合

  • 縫合は、広頚筋の一番下から行い、オトガイを上に引き上げて縫縮
    初めは広頚筋を外側に向け、耳垂を過ぎたあたりで鼻唇溝(法令線のこと)に対して水平に縫縮して、頬骨のところでは上に引き上げるように縫縮
  • 縫縮によって凹凸ができていたら皮膚を剥離し平らにする
    耳垂前、耳珠前、側頭部において皮膚の裏面とSMAS(顔面表在筋膜)とを縫合固定
    この固定で皮膚との死腔少なくする
  • 次に耳を覆った部分の皮膚を緊張を与えないで下のように切除していく
    まず耳垂基部まで皮膚を切り耳垂を露出させる
    耳の後ろを覆う皮膚を切除し、頭側の三角弁に合わせて皮膚を切除
    耳の前の前切痕まで覆った皮膚を切開線に合わせ切除
    最後にW状に切開した最後の直線から前切痕までのS状の皮膚を切除
    縫合は埋没縫合を併用

⑦術後管理
剥離部に組織糊を注入し、側頭部には腫脹を減少させるためヒアロニダーゼを注入
固定は頚の脂肪吸引した部位に薄めのレストンスポンジを2日間装着
手術直後に20分間アイスパックによる冷却
術中十分な止血をし、組織糊で死腔をなくせば包帯などによる圧迫は不要

2 合併症

出血、血腫
細菌感染
皮膚知覚障害
縫合部の皮膚の壊死
肥厚性瘢痕
耳珠、耳垂変形
有毛部切開後の脱毛
腫脹、浮腫、出血斑
左右差
顔の凹凸
表情の変化
疼痛
まれな合併症として、
顔面神経麻痺、耳下腺管損傷も

3 本件の後遺障害

肥厚性瘢痕、左右差
←これらは手技上の問題

裁判例

左右差につき

●鼻孔の左右差等が生じた事案(名古屋地判平成19・11・28)

 人の顔面は,骨格等の生体組織を含め,元来幾何学的に完全に左右対称ではなく,程度の差こそあれ非対称的な部分の存するのが通常である上,美容整形手術は,既存の生体組織を基礎として整容を目的として行われるものであるから,仮に本件各美容整形手術により幾何学的な意味で左右に非対称な部分が発生し又はなお残存したとしても,これをもって直ちに診療契約上の債務不履行があると断定することはできないと解される。

 そして・・・客観的にみて,社会通念上,上記撮影当時の原告に,原告が気に病むほど人の容貌として不自然で,診療契約上の債務不履行を構成すると評価すべき程の,こめかみの左右不均衡,重瞼ライン及び開瞼の左右不均衡又は下顎角の左右不均衡があると認めることはできない。

参考文献
酒井成身「美容外科基本手術―適応と術式―」(南江堂、2008)
日本美容皮膚科学会「美容皮膚科学」(南山堂、2009)

弁護士 池田実佐子