今回は「協力医」というテーマで書いていきます。協力医とは、名前のとおり、協力していただけるお医者さんのことです。どのような協力をしていただくかというと、医療過誤に基づく損害賠償請求をするには、①過失②損害③因果関係を患者側で証明しなければなりません。ただ、医療の場合には、通常どのような検査をし、どのような手術をするのか等、医師でなければ分らないことも多々あります。また、過失から損害が生じているのか、仮に過失がなくても同じような損害が生じているのか等を判断するには、医学的な知見が不可欠です。

 このように、①過失②損害③因果関係を判断する上で高度の医学的知識が必要となります。弁護士でも医学的知識については、文献等で調べることは可能です。しかし、文献に掲載されている医学的情報が、個別の事案に当てはまるか、臨床の現場ではどうかは、医師の方が明らかに高度の知識と経験を有しています。そこで、医療過誤訴訟の前提となる医療事故調査においては、協力医による協力が不可欠になります。

 ただ、医師の世界は狭くなかなか協力医を自分で探すのは大変です。仮に、知り合いに医師がいたとしても、協力してくれるかどうかはわかりません。そこで、協力医を紹介してもらう必要があります。

 法律相談で医療事故調査の中で協力医について説明をすると、依頼者の方からよく質問されるのは、協力医を自分で探すのかという点や、事務所に専属の協力医がいるのかという点です。おそらく、医療過誤事件を場当たり的に扱っている事務所は前者の方法によることもあると思います。また、後者のように、事務所に専属の医師がいるということもあまりないと思われます。当事務所では、一部に当事務所と関係のある先生に協力医になっていただくこともあります。しかし、ほとんどの協力医は独自のルートで当事務所とは関係なく紹介を受けた医師がほとんどです。ある程度中立の医師でなければ、調査の意味がないからです。

 では、具体的に協力医とどのような作業をしていくかを簡単に説明します。まず、協力医が決まったら、協力医の先生にカルテ等を送り、当事務所からの質問事項を検討していただきます。その後、検討結果が出れば、弁護士が協力医の先生と面談し、事案についての医療的見解を教授していただくというのが一般的な流れです。協力医が決まってから面談までは、1か月から4か月ぐらいかかります。これは、協力医が通常は医師として勤務し、空いている時間で調査していただくこと、事案の難易度が高いこと等様々な要因によるものです。

 このように、協力医を確保し、協力医が事案の医療的側面について調査し、その結果を我々に教授していただくことにより、医療事故調査をしていきます。弁護士は医療的側面に関する調査結果を元に、事案の法的側面についての調査を行います。従って、医療事故案件では、協力医が不可欠の存在になっています。