吐血

・吐血は消化管の重大な異常サイン。

・生命の危険を伴うこともある。

・大量の吐血は直ちに検査や治療が必要。

・食道・胃・十二指腸(上部消化管)から出血した場合に認められる。

・出血してから吐血までの時間が短いと吐物は鮮血色。

・数十分から数時間が経過すると胃酸によって塩酸ヘマチンへ変化する為に、出血した血は黒色化する。

原因

胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道静脈瘤、胃静脈瘤、マロリーワイス症候群、出血性胃炎、胃がん、食道がん等

症状

大量出血時又は速度が速い場合にはショックを来すことがある。
吐血した血液の誤嚥や凝血塊による窒息等で呼吸不全になりうる。

診断

吐血量、身体観察などから緊急性を判断、適切な時期に内視鏡検査等の検査を行い原因疾患の特定を行う。

治療方針

 ① 呼吸・循環を安定させる。
 ② 必要に応じて酸素投与、器官挿管を行う。
 ③ 太い針で輸血ラインを確保する。
 ④ 留置針挿入時に、血液生化学検査、感染症検査、クロスマッチ用の採血を行う。
 ⑤ 生理用食塩液で輸血開始。
 ⑥ アルブミン、新鮮凍結血漿、赤血球濃厚液、濃厚血小板の使用を考慮する。
 ⑦ 上部消化管出血に対しては、内視鏡による止血が第一選択肢。(内視鏡的止血法)

         

判例 最判H19.4.3

最高裁判所裁判集民事224号35頁、判例タイムズ1240号176頁

「精神科病院に入院中の患者が消化管出血による吐血,嘔吐の際に吐物を誤嚥して窒息死した場合において,当該患者が,上記吐血,嘔吐の約1時間20分前の時点で,発熱,脈微弱,酸素飽和度の低下,唇色不良といった呼吸不全の症状を呈していたとしても,①上記の時点で,当該患者に頻脈及び急激な血圧低下は見られず,酸素吸入等が行われた後は当該患者に口唇及び爪のチアノーゼや四肢冷感はなく,体動も見られたこと,②上記の時点で,当該患者に循環血液量減少性ショックの原因になるような多量の消化管出血を疑わせる症状があったとはうかがわれないこと,③病理解剖の結果に照らせば当該患者が感染性ショックに陥っていたとも考え難いことなど判示の事実関係の下では,当該患者の意識レベルを含む全身状態等について確定することなく,上記の時点で当該患者がショックに陥り自ら気道を確保することができない状態にあったとして,このことを前提に,担当医に転送義務又は気道確保義務に違反した過失があるとした原審の判断には,経験則に反する違法がある。」