用語等

乳癌

 乳管や小葉上皮から発生する悪性腫瘍
 女性の癌で罹患率1位、死亡率5位
 その広がりにより非浸潤癌と浸潤癌がある(生検によって得られた組織から分類できる)

非浸潤癌:

 癌細胞が基底膜中にとどまり、基底膜を破っていない状態
 早期癌(転移していない)⇒癌発生部位の切除で完治

浸潤癌:

 癌細胞が基底膜を破り、血管やリンパ管に流入している状態
 全身に微小転移しやすい⇒手術、放射線、ホルモン療法、分子標的治療薬、化学療法の組み合わせで治療

乳癌の微小転移

 微小転移=小さな癌細胞が全身に散らばる

 乳癌は比較的進行が遅い一方で、タンポポの綿毛のように転移しやすく、全身に癌細胞が散らばりやすいため、乳房だけの疾患というより、全身病と捉えて治療を継続せざるを得ないという特徴

 主な転移部位:肺33% 骨26% 皮膚・胸壁19% 肝臓8% 脳3%

乳癌の治療:

 予後を左右するのは遠隔臓器転移であるから、最も有効なのは全身療法(化学療法、ホルモン療法、分子標的治療薬)

乳房切除術後の治療の流れ:

 リンパ節の検査結果
 ⇒画像診断(CT、MRIなど)で転移の可能性があり、センチネルリンパ節生検(乳癌摘出術の術前又は術中にセンチネルリンパ節のみを摘出し転移の有無を調べる)が陽性であれば、リンパ節郭清(脇の下のリンパ節をすべてきれいに取ること)

 そうでなければ上記全身療法に加え、放射線療法

乳癌の再発・転移

 術後10年以内に患者の30%に再発

 多くは2~3年ほどで起こるが、進行が遅いことが多いため、5年や10年、稀に20年後に現れる場合も。

 再発の場合、早期発見して治療を開始しても、自覚症状が現れてから開始しても、現時点では治療成績が変わらない。・・・裁判例との関係?

 再発乳癌中、局所再発30%、遠隔転移(骨、肺、肝臓、脳など離れた臓器への血行性転移)70%・・・本件血行性転移?

 血行性に微小転移を起こしていた場合、センチネルリンパ節生検が陰性でも遠隔転移を起こすことがある。

遠隔転移の治療:

 完治は難しく、治癒を目指すよりも症状の緩和や患者のQOLの改善、延命に重点を置いた治療を行う。原則ホルモン剤や分子標的治療薬、抗がん剤による薬物療法。骨・脳への転移には放射線療法も有効。

骨転移(転移性骨腫瘍)

 癌の骨転移と肉腫の骨転移がある。
 発生頻度が高いのは癌の骨転移で、特に乳癌、肺癌の骨転移が多い。
 症状の多くは疼痛で、経過とともに増強する。
 転移部位は脊椎が最多。脊椎転移例では脊髄圧迫症状、脊髄麻痺を生じることもある。

診断:

 (今日の治療指針によると)単純X線検査、脊椎では脊髄圧迫の有無を評価するためにMRI検査を追加し、また他の骨への転移を検索するために骨シンチグラフィー。
 (他文献によると)骨シンチグラム、MRIが有用

治療:

 放射線療法、化学療法、ホルモン療法などの単独若しくは併用
 手術的療法は、病的骨折に対する骨接合術、椎弓切除術、脊椎固定術など

予後:

 原発巣の部位、骨転移巣の数、骨以外の転移巣の有無などによるが、一般に乳癌などでは経過が長い。

弁護士 池田実佐子