1 どこに転移しやすいのか

 大腸癌の転移は、大きく分けて次の3つです。

 ① リンパ行性転移
 ② 血行性転移
 ③ 腹膜転移

 もっとも容易に転移するのは、リンパ行性転移でしょう。
 癌の転移というと、一般的に血行性転移が思い浮かびますが、血管内に癌細胞が侵入するのは、実はそれほど容易ではないのです。なので、血行性転移があると、癌の進行していることの重要な目安になります。
 これに対し、リンパ行性転移は、容易に起きます。癌細胞はリンパ管には簡単に入り込めるからです。
 そして、癌がリンパ管に転移する場合、通常、癌細胞の近くのリンパ管に転移して、段々遠隔地のリンパ管に転移するという特徴を持っています。

 次に、血行性転移の場合、大腸癌においては、転移しやすい臓器というのがあって、最も転移しやすいのが肝臓です。
 その次に転移しやすいのが肺です。
 その他の臓器には転移しにくいというのが大腸癌の特徴です。

 腹膜転移というのは、癌細胞が大腸壁の外側の漿膜層を越えて腹腔内に落ちてしまい腹膜に転移するものです。
 転移の類型としては、最も少ないタイプです。

2 転移の悪性度

 癌の転移というと、一般的には末期症状で予後不良。
 癌の進行度もステージⅣ以上で、5年生存率も低いと考えられていますよね。

 でも、大腸癌の場合はそうでもないようです。
 リンパ行性転移のみならず、血行性転移であっても、転移個数が少なければ手術適応があり、完治する場合も少なくないとか。
 未分化癌であるとか低分化型腺癌、印環細胞癌などは非常に悪性度が高いのですが、そうでなければ比較的治癒できる癌です。

 転移個数が多い場合には、手術ではなく化学療法が選択されるようです。

 ちなみに、癌の転移というと素人の間で誤解されているのは、肝臓に転移するとそこの癌は肝臓癌になり、肺に転移すると肺癌になるという理解ですが、これは間違っています。
 肝臓だろうと肺だろうとどこだろうと、転移した癌はあくまでも大腸癌です。転移先の癌に変わるわけではありません。
 この点について、医師が好んで用いる説明の比喩として、日本人がアメリカに行ってもアメリカ人になるわけではない、日本人のままである、というたとえがあります。分かりやすい説明ですよね。

 ということで、転移しても大腸癌ですから、あくまでも大腸癌に対する治療が行われることになります。