1.意義

 胃静脈瘤とは、胃壁内の静脈が異常に拡張して内腔に突出した病態。肝後、肝内、肝前のいずれかを原因として門脈圧が上昇し、代償的に発生した門脈-大循環系の短絡路のうちの一つである。食道静脈瘤と連続する噴門部静脈瘤と、連続しない孤立性胃静脈瘤に分けられる。孤立性胃静脈瘤は噴門輪に近接する噴門部静脈瘤、離れて孤在する穹窿部静脈瘤に分類され、主に陣静脈に排血される。また、破裂して出血すると大量になるため出血死がおこることがある。

2.治療方法

① 外科的手術・・・血管の遮断や胃切除。治療効果は大きいが、他の治療法と比べて侵襲が大きい。

② 内視鏡治療・・・直接病変部に薬剤を注入して静脈瘤を閉塞させる方法(EIS)。出血例は組織接着剤(ヒストアクリルHistoacryl)との併用が望ましく、待機・予防例に対してはEIS単独ないし、EISと組織接着剤が併用される。低侵襲であり、出血に対する一時止血効果は高いとされているが、再出血の危険性が高く、根本的な治療法として確立はしていない。また、手技の難易度が高く根治的な治療には比較的高度な技術が要求される。

③ バルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術(balloon-occluded retrograde transvenous obliteration: B-RTO)・・・血管造影の技術を応用し、胃静脈瘤を出口側から閉塞させる治療法。胃静脈瘤の出口をバルーンで閉塞しそこから硬化剤を注入することにより、静脈瘤を閉塞させる。治療率は一般的に85%以上といわれるが、病変の大きさや静脈瘤に関与して切る血管の複雑さなどにより異なる。病変が大きい場合や血管が複雑な場合には治療の難易度が高くなることから、血管造影の手技を用い病変を栄養する動脈や病変から流出する静脈をプラスチック粒子やコイルなどで閉塞する動脈・静脈塞栓術や経門脈塞栓術などを併用するか、同術に変更する必要がある場合がある。

④ 薬物療法・・・単独あるいは他との併用で行われる。

3.バルーン閉塞下逆行性経静脈塞栓術

(1)適応

胃腎シャントを伴う孤立性胃静脈瘤、肝性脳症(高アンモニア血症)、高ICG血症、十二指腸静脈瘤、直腸静脈瘤、stoma varices等。

(2)合併症

5-10%程度で発生。副作用による肝機能障害、カテーテル挿入時の血管穿孔による出血、穿刺部の出血、肝不全。副作用による発熱、腹水は30-50%、食道静脈瘤の憎悪は30%でみられる。

(3)適応を慎重に考慮すべき症例

出血傾向を有する血症板3~4×104/μL以上の症例やChild Cのみ出血例などは適応を慎重に考慮すべきである。腎機能障害を有する例では血液透析の準備が必要である。さらに、硬化剤の過剰使用は、ARDSが引き起こされる懸念があり、呼吸不全既往例では、予防例では禁忌に近い。

(4)禁忌

高度の腎機能障害、高度の黄疸を伴う肝不全