今回は、みなさんも1度くらい、経験があるかもしれない骨折について触れてみようと思います。

 まず、骨折の種類としては主に、単純に骨の長軸に対して垂直に折れる横骨折、それが斜めに折れる斜骨折、回転力が加わって折れるらせん骨折、強度の力が加わり骨が細かく砕ける粉砕骨折、1本の骨の2箇所が折れる分節骨折、骨端部がかけたり剥がれたりする剥離骨折、亀裂が入っただけで骨が完全には折れない若木骨折などがあります。

 何れの骨折においても、骨折治療の基本は、整復して仮骨形成がなされるのを待つところから始まります。

 整復とは、骨が骨折したことでずれが生じてしまった状態(転位)から、正常の位置に戻すことをいいます。仮骨とは、骨折部に強靱な骨が作られるまでの途中段階の組織を指します。骨折すると、骨折部周辺に出血が起き、出血した血液は、次第に固まって繊維化していきます。そして、その繊維の中に骨芽細胞が出現し、骨芽細胞が集積し、定着した状態を仮骨と呼んでいます。この仮骨は、骨折した箇所を覆うように、こぶのようにややふくらんだ形で出来上がります。ここから仮骨が通常の骨に変化していく過程で、こぶも吸収され、元通りの形になるわけです。

 しかし、仮骨は骨と違って脆弱な組織なので、外部から力が加われば、簡単に壊れてしまいます。仮骨から骨になるには少なくとも1か月は要しますから、この間、正常に仮骨が骨になるように、また、外力によって、せっかく整復した部位が再びずれて、転位したままくっつくようなことが起きないように、副木やギプスで骨折部をしっかり固定してやる必要があるのです。

 整復しなかったり、整復状態の維持が不十分で、骨がずれてくっついてしまうことを変形癒合といいます。

 この変形癒合が生ずると、その部位が本来の骨の長さ太さと異なってくることから、周辺の神経や筋肉等に不自然な圧迫を加えるようになり、様々な障害を招来しかねません。再手術が必要となる場合も多くあります。それゆえ、骨折治療にとって、整復作業はかなり重要な位置付けを占め、整復を確実化し、変形癒合を防止するために、ギプスのみならず、骨折部位をプレートやボルトで固定したりするのです。

 なお、整復した骨が再び転位しないようにする固定法には、ギプス・副木等の外固定法、手術で金属プレート・ワイヤーを装着する内固定法の他にも、開放骨折などで体外に骨が露出した部分をピン等でとめる創外固定法や、X線画像で透視しつつ皮膚の外側からワイヤーなどで骨を串刺しにして固定する経皮的鋼線固定法等があります。