日々相談を受けるなかに、外科的手術を施すなどした際に出血性ショックを起こして短時間のうちに死亡した、という案件が一定数あります。そこで、今回は、出血性ショックとは何かについて、概略を記します。

病態

 出血性ショックとは、出血により血液の組織灌流が低下し、細胞への酸素供給が不足することによって、細胞機能障害が生じる病態を指す。出血すると交感神経系の興奮により血管収縮、心拍数増加及び心筋収縮力が増大し、循環を維持する代償機転が働く。従って、身体所見として皮膚湿潤、蒼白、冷感、頻脈を認める。出血量が多くなると、頻呼吸、脈圧低下、血圧低下、意識偏重、尿量低下、高乳酸血症及び代謝性アシドーシスを呈する[1]

 そして、ショックの程度は、循環血液量によって決まる。即ち、循環血液量は「(出血速度-間質液移行速度)×出血持続時間」によって規定されるため、出血総量が同じであっても、出血速度が速いほどショックの程度は重篤となる。循環血液量が20パーセント程度低下するとショック症状が現れるとされている[2]

予後

 出血性ショックは、短時間で回復すれば特に障害を残さないが、遷延すれば肝、腎、膵、心筋、肺、腸管などの虚血と再灌流障害により多臓器不全を来す。ショックの代償期には生体反応として、交感神経系亢進、血流の再分布、体液の移動、抗利尿ホルモンの分泌、ステロイドやカテコールアミンの分泌により、辛うじて循環を維持できるが、これらが破綻した非代償期に陥れば死亡する[3]

[1] 「今日の治療指針2010年版」(医学書院、2010)・出血性ショック
[2] 「医学大辞典第2版」(医学書院、2009)・出血性ショック
[3] 「今日の治療指針2011年版」(医学書院、2011)・出血性ショック