弁護士 井内健雄



当職は、ある市が市立病院を開設し、その管理運営をある公社に指定管理者として指定しており、その公社が管理する病院が医療ミスをした場合、その責任が誰にあるのかという問題を扱っています。責任の所在は、直接運営している公社にあるのか、開設した市にあるのかということが問題になります。

この事件は、現在係属中であり、市は、直接管理しいていないこと、診療契約の当事者が公社であること、医師らとの使用関係は公社にあることを理由に責任を否定しています。そこで、いかなる責任追及が考えられるか、検討していきたいと思います。


まず、指定管理者制度は、公の施設の管理・運営を団体に包括的に代行させることができる制度であります。例えば、図書館、プール、病院等の公の施設を地方公共団体が開設し、その管理、運営を第三の団体に任せることが挙げられます。

このように、市が管理、運営を指定管理者に任せているので、直接管理していないこと、契約当事者でないこと、使用関係にないこと等を理由に、市は責任がないと主張しています。

しかし、本当に、市に責任がないと認めていいのでしょうか。本来、市がすべき業務(直接管理運営する施設)をたまたま、指定管理者を指定して、直接管理、運営をしなくなっただけで、その公の施設で生じた責任について、市は免れるのでしょうか。

確かに、直接公の施設を管理していた指定管理者に責任追及が可能なのだから、あえて市に責任追及する必要はないとの考え方もあります。

しかし、私の依頼者は市立病院に入院して、問題があり、たまたま指定管理者という制度が利用されているから、市に問題提起できないのは納得できないとのことでした。また、仮に、指定管理者に責任が追及できても、資力が十分でなければ、損害を填補できない可能性もあります。

そこで、当事務所では、「公の施設の管理業務の執行にあたっての指定管理者の行為が原因で利用者に違法に損害が生じた場合には、国家賠償法第1条の規定により、設置者たる地方公共団体が賠償責任を負うこととなる」として、国賠請求訴訟で市の管理責任を追及しています。まだ、係属中であり、いろいろ争点になりますので、詳細については、今後記載していきます。


 

 

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