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毎週いくつも医療事件の法律相談を受けますが、訪問介護や訪問看護において脱水への対処を誤ったと疑われる案件が一定数あります。そこで、今回は、脱水にまつわる医学的知見を簡単にまとめておきます。

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病態、病型[1]

脱水とは、体液量が減少した状態を指す。

脱水は、高張性脱水、低張性脱水及び等張性脱水の3病型に分けられる。即ち、高張性脱水とは、ナトリウムに比べ水が多く失われ細胞外液の浸透圧が上昇する水欠乏性脱水を指し、低張性脱水とは、水に比べナトリウムが多く失われ細胞外液の浸透圧が低下するナトリウム欠乏性脱水を指し、等張性脱水とは、水とナトリウムが同じ割合で失われる混合性脱水を指す。

ただ、実際には、高張性脱水と低張性脱水の混合型、即ち等張性脱水であることが多い。

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症状、徴候[2]

高張性脱水(水欠乏)低張性脱水(ナトリウム欠乏)
口渇感倦怠感
乏尿感情鈍麻
唾液減少頭痛
口腔・舌乾燥食欲不振
眼球陥凹立ち眩み、眩暈
体温上昇失神発作
頻脈頻脈
血圧低下血圧低下
倦怠感悪心・嘔吐
重症では、錯乱、嗜眠が加わり、終に死亡する。turgor(皮膚緊張度)低下
臓器灌流不全による狭心症発作、腹痛、ショックなどもある。
重症では、無関心、無欲状態となり、傾眠、昏睡などの意識障害を来す。終には死亡する。
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対処

高度の脱水は、生体に極めて重大な影響を及ぼし死亡することもあるため、どのような脱水においてもまずバイタルサインをチェックし、緊急処置の必要性を速やかに判断するべきである。意識障害、血圧低下などのショック状態が認められれば、気道確保、血管確保を行い、約500~1000ml/時の急速輸液を開始する。これに対し、緊急性がなければ、医療面接、身体診察、諸検査により脱水のタイプと重症度を評価した上で治療方針を決定する[3]


[1] 「内科診断学第2版」(医学書院、2008)・脱水、「新臨床内科学第9版」(医学書院、2009)・脱水

[2] 「内科学」(医学書院、2006)、「救急マニュアル第3版」(医学書院、2005)・脱水症

[3] 「内科診断学第2版」(医学書院、2008)・脱水