弁護士法人ALG&Associates

弁護士  金﨑 浩之


1 肝臓の機能は2つに分けて考える

 肝臓というと、解毒するための臓器というのが一番多い素人的な理解だと思います。

 これは間違ってはいないのですが、肝臓の重要な機能のほんの一部に過ぎません。

 肝臓の機能を整理する際には、「門脈系の機能」と「総胆管系(胆汁系)の機能」に分けると理解しやすいです。


2 門脈系

 食事をして栄養が腸から吸収されると、その栄養は、一旦全て肝臓に送り込まれます。

 腸から吸収された栄養がそのままエネルギーとして利用されるわけではないんですね。実は、吸収された栄養は、そのままでは使えません。
 自動車にたとえると、部品のようなものに過ぎません。
 それをちゃんと利用できるようにするためには、組み立てて車にしないといけない。
 その組み立て工場のような役割を果たしているのが肝臓なのです。

 なので、一旦は、吸収した栄養を全て肝臓に集める必要があるのです。

 このときに、消化器官から吸収された栄養はどのようなルートで肝臓に送られてくるのかというと、それが「門脈」という血管なんです。
 この門脈という血管は、吸収された栄養を輸送するための専用道路のようなものです。

 ところが、このとき、門脈から運ばれてくるのは、栄養だけではありません。ヒトのカラダにとって有害なものまで運ばれてきてしまうんです。
 というのは、消化器官というのはけっこうアホな臓器で、栄養だけではなく、毒になるようなものまで吸収してしまうんですね。

 ということで、栄養だけではなく毒まで肝臓に送られてきちゃう。

 そこで、肝臓は栄養と毒を振り分けて、その際に解毒という作業もやってくれているんです。

 これが大まかに言うと、肝臓の門脈系の機能です。


3 総胆管系

 肝臓は、もうひとつ重要な作業をしてくれています。

 胆汁という消化酵素を産生して、それを十二指腸に向かって分泌しているんです。

 この胆汁を十二指腸に送るための輸送道路が「総胆管」です。


 話しはちょっとそれますが、十二指腸がどこにあるか知ってますか?

 食べたものは胃を通過すると小腸に行きますよね。この胃から小腸へ繋げているのが十二指腸です。だから、胃の出口のところにあります。
 だから、別の表現を借りれば、腸の入り口ということもできます。

 素人さんは意外に感じるかも知れませんが、胃は消化器官というよりは、むしろ貯蔵庫のような存在です。
 食べたものを全て直ちに消化できない、少しずつ消化しないといけない。

 なので、一旦胃の中に貯蔵しておいて、少しずつ小腸に送り込んでいるんです。
 だから、消化・吸収の主役はむしろ小腸。

 ここでやっと話しが戻ります。

 肝臓が作った消化酵素である胆汁が十二指腸に分泌されるとさきほど書きました。

 十二指腸に向かって消化酵素が胃から出てきた食物にふりかかります。こうして、消化しやすい状態にして小腸に送り込むわけです。
 そのために、胃の出口、すなわち腸の入り口でもある十二指腸に胆汁を注いでいるんです。

 しかし、ここからがヒトのカラダのすごいところです。

 この胆汁という消化酵素。実は消化力がとても弱いんです。考えてみれば当然なんですが、胆汁の消化力があまりにも強いと、肝臓自体を消化しかねない。総胆管も溶かしちゃう、なんてことになると大変です。
 ではどうするのかというと、膵臓という臓器が膵液を分泌します。この膵液も胆汁と同様に消化酵素です。この膵液もこれだけでは消化力が弱い。
 でも、胆汁と膵液が混ざると、化学反応を起こして強力な消化力を発揮できるようになる。

 そして、膵臓も膵管という輸送道路を使って、十二指腸に膵液を送りこんでいるのですが、この膵管は、十二指腸の手前の開口部で先ほどの総胆管と合流しているんです。
 上手い具合に十二指腸のところで、胆汁と膵液が混ざり合い食べ物などに注がれることになるわけです。
 カラダって上手くできていると思いませんか?