弁護士法人ALG&Associates

弁護士 金﨑 浩之


1 抗MRSAの第一選択薬について

   横浜地判H24.5.24(判例3)

・耐性菌の問題は他の抗菌薬でも同様であるから、抗MRSA薬(バンコマイシン)より優先して他の抗菌薬を投与すべきとは言えない。

 ※本件では、MRSAに無力な抗菌薬を同定前に投与

   東京地判H15.10.7(判例21

・本件において、MRSA感染症治療としての抗生剤バンコマイシンを投与すべき義務があった。

※本件では、セフォタックス(第三世代セフェム・セフォタキシム)、チェナム(イミペネム/シラスタチン)が投与し続けられている。


2 副作用と抗菌薬の投与量

   東京地判H19.12.17(判例9)

※本件では、原告から、「VCMの投与量、投与間隔が不十分である」として、具体的な投与方法の過失を主張している。

VCMは、陣機能障害を有する患者においては、血中濃度の半減期が延長するので、投与量を修正して慎重に投与する必要がある。→感染の有無及び原因菌が未確定の段階で、直ちに少なくとも11グラムのVCM投与を開始すべき義務があったとは言えない。

VCMの血中濃度を測定しながら、トラフ値10~15を目標に設定すべき義務があったとは言えない。

BUN、クレアチニン値が更に悪化傾向にあった。→VCMの追加投与をしなかったことも不合理だとは言えない。

VCMの投与頻度を3日に短縮したことも不合理だとは言えない。


3 被告のいわゆる他原因の主張について

   大分地判H21.10.1(判例6)

SIRSの原因は、外傷、熱傷のほか感染症も含め、多数あり得るのであるから、SIRSと診断していたとしても、MRSA感染症を疑う注意義務はある。

ARDSは重篤な呼吸不全であるというにすぎず、その原因は敗血症性ショック等様々であるから、その所見が見られたからといって、直ちに感染症を否定してよいことにはならない。