弁護士法人ALG&Associates

弁護士  金﨑 浩之


1 はじめに

 ①入院中に下痢が出現した場合には、まずCDI、偽膜性腸炎を念頭に置くべき。

 ②主な症状は、大量の水様性下痢、腹痛、発熱の3つ。
   ・水様性下痢(90%~95%)
   ・腹痛(80%~90%)
   ・発熱(80%)
   ・血便(5%~10%)

 ③背景因子:高齢者(60歳以上)、外科手術、抗癌剤治療、糖尿病、長期臥床、長期入院など。


2 下痢

 ①水様性の下痢が多いが、泥状便、粘液便、粘血便の場合もある。

 ②入院中に下痢が発症すれば、CDI・偽膜性腸炎が疑われるからといって、CDI・偽膜性腸炎で あれば下痢があるはず、ということにはならない(逆は必ずしも真ならず)。
 腸炎が重篤化すると、腸の蠕動運動能が低下するため、むしろ便秘気味になる。
 腸雑音の消失は、蠕動運動能の低下を示唆するので注意。


3 腹痛

 ①腹痛は、締めつけるような痛みで、反跳痛を伴うこともある。

 ②腹部膨満、広範囲な圧痛など多彩。

 ③吐き気、嘔吐は少ない。


 4 診断上の注意事項

 ①抗菌薬の投与歴と水様性下痢のみで偽膜性腸炎を疑うことは可能。

 ②下痢がない、発熱だけの場合もあるので、不明熱の場合の鑑別診断として考慮すべき。

 ③抗菌薬を投与された患者、入院後72時間以上経過した患者に水様性下痢が出現した場合には、CDI・偽膜性腸炎を疑うべき。

 ④抗菌薬を投与していなくても発症しうるので、入院患者に原因不明の下痢が出現した場合には、CDI・偽膜性腸炎を疑うべき。

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参考文献

・松井敏幸ほか編「ここが知りたい!偽膜性腸炎/CDI」(文光堂)