弁護士法人ALG&Associates

弁護士 金﨑 浩之


〔鑑別基準〕

①分離された検体は何か(本来無菌の検体からか)

・無菌の臓器(血液、髄液、胸水、膀胱穿刺尿など)から細菌が分離されれば、感染の可能性が高い。但し、穿刺するときに、皮膚常在菌の混入(=コンタミネーション)がないことが前提。
・常在菌の混入がある臓器(喀痰、尿、皮膚、便など)から検出された場合は、他の所見と併せて総合考慮する。

②検体の性状はどうか(分離菌数は?肉眼的に膿性所見はあるか?鏡検で好中球の存在や貪食所見はあるか?)

・分離菌数、グラム染色などで判断する。
・喀痰の場合は、10の7乗以上、尿の場合は10の5乗以上であれば、感染の可能性が高い。
 しかし、これを下回るからといって、感染の可能性は否定できない。
・グラム染色で、好中球の存在、貪食所見を見る。保菌と感染を鑑別する最も有効な手段のひとつとされる。

③局所的な感染所見はあるか(膿尿所見、画像所見、創部局所疼痛、圧痛、発熱、腫脹など)

④患者の全身状態はどうか(低栄養、基礎疾患、治療)

・低栄養状態=血清アルブミン値が3g/dl未満
・基礎疾患=悪性腫瘍、膠原病、肝疾患、腎疾患、糖尿病、脾臓摘出など
 なお、脾臓は抗体を作る免疫細胞(=形質細胞)が成熟する場所
・治療=ステロイドなどの免疫抑制剤、抗がん剤の投与など
があれば、感染リスクが高い。

⑤全身感染所見はどうか(発熱、CRP上昇、末梢血白血球数増加)
・発熱=38°以上
・白血球数8000以上
・CRPの上昇
があれば、感染の可能性が高い。

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参考判例
・名古屋地裁平成19年2月14日判決が鑑別基準を判示している。

参考文献(脾臓の重要性について)
・「99.9%が誤用の抗生物質」岩田健太郎著(光文社新書)66頁以下。