大阪支部  弁護士  浅田 有貴

【胸水貯留の原因】

胸水は壁側胸膜から産生される液体で,呼吸の際に胸膜同士の摩擦を低減するためのものである。

胸水自体は,多くの場合自然に再吸収されるので,もし無症状であれば,一般的に治療の必要はない。しかし胸水貯留の原因には,悪性腫瘍,結核,肺炎,膠原病などで胸膜炎を生じたこと,うっ血性心不全などで静水圧が異常に高まったこと,何らかの原因で体内の蛋白が低下ないし喪失して膠質浸透圧が異常に下がったことなども考えられる。明確な基礎疾患や手術直後等の事情がなく胸水貯留が認められた場合,悪性腫瘍,結核,心不全を疑う。


【滲出性胸水】

 滲出性胸水は胸膜炎によって生じる。胸膜炎はその原因に応じてがん性,結核性,細菌性,膠原病性に分類される。なかでもがん性胸膜炎と結核性胸膜炎が特に多いことから,貯留した胸水を調べて①胸水/血清比,②LDH(乳酸脱水素酵素)値,③胸水LDH値が血清の基準値上限の2/3以上であるかどうかの点から滲出性胸水であると判断された場合には,肺がんの可能性も念頭に置いて,慎重な診断が必要であると考えられる。


【肺がんの診断】

 X線像やCT像で,陰影の性状等(たとえば胸水はX線透過性が低いため,X線像では白く映る)から肺がんを疑った場合,細胞診や組織審で病理学的に確定診断を得る。喀痰細胞診,気管支鏡検査等の局在診断を経て,胸・腹部のCTや腫瘍マーカーによる全身診断を行い病期を分類する。
 TNM分類に従い病期を判断する。


【肺がんの治療選択】

 治療法は小細胞肺がんと非小細胞肺がんで分けられ,それぞれの病期によって異なる。

 小細胞肺がんはⅠ期のみ外科手術の適応があり,Ⅱ・Ⅲ期には局所療法と全身療法を組み合わせた治療,Ⅳ期は化学療法が適応となる。

 非小細胞肺がんはⅠ・Ⅱ期であれば外科切除が行われ,Ⅲ期には局所療法と全身療法wp組み合わせた治療,Ⅳ期は化学療法が適応となる。Ⅳ期で症状がある場合には放射線治療によって症状緩和を目指すことになるが,体力が残っていなければ十分な治療ができないこともある。


【参考文献】

・メルクマニュアル第18

・インフォームドコンセントのための図説シリーズ 肺がん 改訂4版/医薬ジャーナル社

・病気がみえる vol.4Medic Media