日本版敗血症ガイドライン誕生の背景


弁護士 金﨑 浩之


1 SSCG

 2002年10月

  重症敗血症の転帰を改善するため、国際的なキャンペーンを開始することが決定(Surviving Sepsis Campaign)。

 2004年10月

  同キャンペーンの一環として、ガイドラインが作成された(Surviving Sepsis Campaign Guidelines, SSCG)。
  欧米を中心に普及していく。

 2008年10月

  同ガイドライン改訂。日本の学会もこの時期から会議に参加。

 2013年2月

  同ガイドライン改訂。


2 SSCGの問題点

・SSCGは、主に欧米の医療制度を前提として作成されているが、日本の医療制度との相違がある。
 例えば、欧米で認可されている薬剤の中に、日本では使用できないものがある。

・SSCGに記載されていなくても日本では実施されている独自の治療法がある。
 例えば、サイトカイン除去を目的とした血液浄化法は、日本では行われているが、欧米では普及していない。
 また、日本で実施されているタンパク分解酵素阻害薬も欧米では使用されていない。

・日本と欧米では、DICに関する考え方が違う。
 すなわち、日本では、敗血症に合併する血液凝固異常を、敗血症の急性期DICと捉え、DICに対する治療が行われている。
 ところが、欧米では、DICという言葉がほとんど使用されていない。

・SSCGが採用している治療方法を支持するエビデンスは、そのほとんどが欧米人を対象にした臨床試験で得られたものに依拠している。
 侵襲に対する生体反応は、遺伝子多型により個体差が生じ、しかもその遺伝子多型には、人種差があることが分かっている。
 したがって、欧米人に対して有効だった治療が、日本人に奏功するとは限らない。

3 日本版ガイドラインの誕生

 2007年3月

  SSCGの問題点を踏まえ、日本独自のガイドラインを作成するため、 日本集中治療学会が委員会を立ち上げ、活動開始。

2012年11月

  日本版ガイドライン完成

2012年12月

  日本集中治療学会HPで掲載される。