HER2陽性乳癌と分子標的薬

 弁護士 金﨑 浩之


1 HER2とは

 ①ヒト癌遺伝子が産出する。

 ②細胞膜貫通型の蛋白質である。

 ③細胞増殖因子の受容体(EGFR)である。

 ※EGFR=epidermal growth factor receptor


2 トラスツズマブ(抗HRE2薬)の薬理作用

・HER2受容体は、膜貫通型受容体チロシンキナーゼであり、その活性化によって、腫瘍増殖や進展に関する遺伝子シグナルが活性化される(210頁)。

・HER2シグナルによって、VEGF(血管上皮細胞増殖因子)の転写が活性化される。その結果、血管新生も増強される(214頁)。

・トラスツズマブは、HRE2受容体の活性化を抑制する分子標的治療薬である(210頁)。

・トラスツズマブは、HER2シグナルを抑制することによって、血管新生を抑制している(214頁)。


3 術前療法とトラスツズマブ

①アンスラサイクリン系(標準化学療法)→タキサン+トラスツズマブ併用(196頁)

 ⇒pCR率40~50%

②MDアンダーソン癌センター臨床試験(ランダム化比較試験)(210頁)

 ・比較対照群
  パクリタキセル→5-FU、エピルビシン、シクロホスファミド

  ⇒pCR率26.3%、3年無再発生存率85,3%

 ・比較対照群にトラスツズマブ併用

  ⇒pCR率65.2%、3年無再発生存率100%


4 トラスツズマブ・ラパチニブの”デュアル抗HER2”(213頁)

 NeoALLTOランダム化比較試験

 ・比較対照群
  トラスツズマブ+パクリタキセル→手術→トラスツズマブ

  ⇒pCR率29.5%

 ・デュアル抗HER2療法
  トラスツズマブラパチニブ+パクリタキセル→手術→トラスツズマブラパチニブ

  ⇒pCR率51.3%

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参考文献

・日本乳癌学会編「乳腺腫瘍学」(金原出版株式会社)