眼窩内側壁骨折

 眼窩内骨折(眼部の打撲で眼窩内圧が上昇した結果、菲薄な眼窩化壁や眼窩内側壁が破裂骨折し、眼窩内容が骨折部から副鼻腔内へ嵌頓する)の一つ。軽度の内側壁骨折であれば無症状のこともある。

 内直筋が篩骨洞内に嵌頓すると、眼球の外転障害や内転障害が生じる。また、眼窩底骨折よりも眼球陥凹と眼窩内気腫を生じやすい。鼻かみによって骨折部から眼の周囲組織に空気が入り、突然の眼球突出・複視の出現、及び眼瞼の握雪感が生じる。

治療

 手術適応は眼球運動障害による複視と眼球陥凹の程度により決する。眼球運動障害が高度なものや、画像で外眼筋の絞扼が明らかな場合は、可及的早期の手術を要する。1~2週間経過しても日常で不便を感じる複視が存在する場合は、手術の適応となる。また、形態的に2mm以上の眼球陥凹は手術適応とされる。

 骨折部で眼を動かす筋肉が挟み込まれている場合は緊急手術が必要になることもあるため、まずはCT撮影により骨折の状況が判断されなければならない。なお、眼窩内壁骨折は単純X線検査では診断が困難とされている。

治療の効果とリスク

 適切な手術により眼球の動き(複視)や眼球陥凹の改善、頬~口唇部の知覚障害の回復促進が期待できるが、損傷の程度によっても結果は大きく異なる(たとえば、眼窩底骨折であれば、下直筋を著しく損傷していた場合複視の改善は見込めない等)。また、手術せずに回復が期待できる場合でも、回復期間(1ヶ月~半年程度)を短くするために手術をすることもあるとされる。手術に伴うリスクには、全身麻酔手術に伴うもののほか、眼部の浮腫や出血などがあげられる。

参考

・日本形成外科学会
・Just Answer/医療ミス・医療事故
・標準形成外科学(第五版・2008年3月15日)/医学書院

大阪支部  弁護士  浅田 有貴