TNM分類

 肺がんについては、TNM分類という方法により、がん細胞の広がりの程度で病期の進行度を分類する。2010年1月から、新しい分類(第7版)が使用されている。

 T、N、MはそれぞれT因子とN因子とM因子を意味する。T因子はtumor(原発腫瘍の進展度)、N因子はlymph node(リンパ節転移の有無ないし程度)、M因子はmetastasis(他臓器への転移の有無ないし程度)を表す。TはT0からT4まで、NはN0からN3まで、MはM0、M1a、M1bが存在する。それぞれの因子を判断し、その組み合わせに従い、肺がんの病期を0期からⅣ期までに分類する(0期、ⅠA期、ⅠB期、ⅡA期、ⅡB期、ⅢA期、ⅢB期、Ⅳ期)。

 M1a又はM1bとなれば、T因子及びN因子に関係なくⅣ期に分類する。

非小細胞がん

 肺がんは、腫瘍学的特性や治療法の違いから、小細胞がんと非小細胞がんに分けられる。非小細胞がんはさらに腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がん、カルチノイド腫瘍などに分類される。病期の決定はいずれもTNM分類による(2010年1月に新分類が採用されて以降)。

 小細胞がんは非小細胞がんと比べて腫瘍の増殖速度が速く、化学療法や放射線療法による感受性が比較的高いとされているが、これに当てはまらないケースも少なくない。

扁平上皮がん

 重層扁平上皮に類似し、角化(角質形成)あるいは細胞間橋を示す悪性上皮性腫瘍。肺門部の比較的太い気管支での発生が多い。

 気管支は正常な状態であれば物理的刺激に弱い円柱上皮に覆われているが、刺激ないしストレスのために円柱上皮がより丈夫な扁平上皮に置き換わる。さらに刺激が継続すると、扁平上皮の中でも大きさの異なる異型細胞が現れる。また、表層が核を失って固い角質になる(角化)。そのうち異型細胞の数がさらに増え、異型度が高くなり、やがてがん細胞が出現する。

 喫煙は気管支に対して強い刺激を与えるため扁平上皮がんと密接な関係があるとされており、特に男性に多い。連続的に周囲に浸潤する傾向が強い。

 病理組織所見として特徴的なのは、細胞間橋や、角化が同心円状に進んで生じた構造物であるがん真珠。

小細胞がん

 小型の腫瘍細胞がびまん性に並ぶ悪性上皮性腫瘍。比較的中枢に発生(肺門部に好発)し、発育・転移が速く、進行症例として発見されることが多い。肺がんの中で最も予後不良とされている。扁平上皮がんと同様、喫煙と関係があるとされている。

 小細胞がんは肺がんの中で最も増殖力の強いがんであり、Ⅰ期のごく初期を除いて、基本的に手術適応は無いとされている。

 病理組織所見として特徴的なのは、菊の花のようなロゼット形状や索状配列。

参考文献

・臨床・病理 肺癌取扱い規約(2010年11月・第7版)/日本肺癌学会 編
・インフォームドコンセントのための図説シリーズ・肺がん(改訂4版)/医薬ジャーナル社
・同(改訂3版)/医薬ジャーナル社
・肺癌(ISSN 0386-9628)vol.51/no.5/日本肺癌学会
・同vol.43/no.6/日本肺癌学会
・呼吸器疾患ビジュアルブック/株式会社学研メディカル秀潤社
・Cancer Therapy.jp(Lung Cancer Cutting Edge 2010年5月号vol.1)
・今日の治療指針-私はこう治療している 2011/医学書院
・病気がみえる vol.4 第1版/Medic media

以上
大阪支部  弁護士  浅田 有貴