1 肺塞栓の病態生理

・血栓、脂肪、腫瘍などが血流に乗って肺動脈を閉塞

※血栓で塞栓を引き起こすと、肺血栓塞栓症

・末梢の肺組織が壊死すると→ 肺梗塞

・低酸素血症

・右室負荷により、右室の心不全

※無症状のものから急性憎悪して突然死を招くケースまである。

2 判例

・確定診断が容易ではないため、急性憎悪して早期に死亡する場合もある。
 → そのため、医療機関から免責の手段として主張されることも多い。

・裁判例では急性憎悪で死亡するケースが多いにもかかわらず、勝訴事案も多い。

①東京地裁平成16年5月27日判決

・事案
呼吸困難・胸部圧迫で救急車搬送。入院翌日に死亡

・裁判所が認定した過失
肺塞栓を疑って早期に心エコー・画像検査を、確定診断のために肺血流シンチグラフィー等を行い、確定診断後ペパリンを投与して再発を防止すべき義務を怠った過失

・因果関係も肯定

②金沢地裁平成10年2月27日判決

・事案
33歳の主婦が突然の呼吸困難。翌日、肺塞栓で死亡。

・裁判所が認定した過失
死亡の10数時間前に肺塞栓を含む肺循環器障害を疑い、確定診断のための追加検査をすべき注意義務違反を怠った過失

・因果関係も肯定

③浦和地裁平成12年2月21日判決

・事案
骨折部分の整復固定手術後で入院加療。その3日後に死亡。

・裁判所が認定した過失
肺塞栓を疑ってヘパリン等の予防措置をとり、他の疾患との鑑別検査を行い適切に解塞栓の治療を行うべき注意義務違反の過失

・因果関係も肯定