1 はじめに

 今回は、誤嚥による窒息等の事例について、検討したいと思います。誤嚥して、窒息までに至らず助かるというケースや誤嚥後の即時の対応がよく、誤嚥以前の状態に回復している事例までいれると、たいていの介護施設や病院では起こり得る事故だと思います。ただ、稀に、窒息した状態で発見され、救命できず、患者さんや施設利用者さんが亡くなってしまうことがあります。
 今回は、誤嚥の医学的知見、誤嚥予防のマニュアル、裁判例を分析していきたいと思います。

 誤嚥による窒息を防ぐには、①誤嚥予防と②誤嚥後の即時の対応が重要になります。裁判例では、①②ともに争われています。ただ、後述するように、食事形態でよく争われますが、ここで過失が認められることは稀で、基本的には、その際の見守りや、誤嚥後の対応で過失が認められやすい傾向にあると思います。