今回のテーマは異物誤飲。私が担当している事件で、入れ歯(義歯)を誤って飲んでしまい、患者さんが、喉の痛みを訴えたにもかかわらず、そんな大きいもの飲み込むわけがないと信じてもらえず、翌朝、40度近い高熱があり、医師が診察したにもかかわらず、「入れ歯誤飲の可能性があるが、(休日ということで)経過観察とされ、翌朝、意識レベルが低下し、縦隔炎に陥り死亡したという事件があります。

 そこで、今回は、異物誤飲、縦隔炎を調べて、書いていきます。

 義歯のような大きなものを誤飲することはあるのとはじめは疑問におもいましたが、実際はあるようです。ただ、患者さんが自覚していれば、大きなものであり、誤飲物が喉のあたりでとどまることから、だいたいは、取り出せるようです。ただ、認知症をわずらっていたりするとなかなか気づかないこともあるようです。

 異物誤飲をすると、異物が喉にひっかっかり、気管を破ると、そこから菌が入り、感染症になるようです。縦隔炎がひどくなると場合によっては、死亡してしまいます。

 では、異物誤飲の場合、どのような病態、症状になり、縦隔炎の病態・治療等を検討し、医師及び看護師には、どのような義務があるのか書いていきたいと思います。

(ア)異物誤飲

ⅰ 定義

 誤飲とは、食物以外の物を誤って口から摂取することである。消化管異物とは、誤飲したものが消化管から吸収されないで便中に排出されるか、摘出する必要があるものである。異物誤飲とは、消化管異物となるものを口から飲み込んでしまうことである。

ⅱ 病態

 消化管異物は、異物の性状によっては消化管の閉塞、出血、穿孔や膿瘍形成など重篤な合併症を引き起こすことがある。鋭利な異物や細長い異物は、内腔の細長い食道に引っかかる。異物に圧迫されて血流障害が起こると消化管に穴が空き(穿孔)、縦隔炎や腹膜炎、膿瘍形成を発症する。

ⅲ 疫学

 異物誤飲は高齢者に多く見られる。高齢者で異物誤飲が多いのは、義歯の使用頻度が高くなることや、認知症や脳血管障害のために精神活動が低下することが原因である。高齢者では、義歯や錠剤薬の包装材等の誤飲がみられる。

ⅳ 症状

 咽頭や食道の違和感、疼痛、胸痛といった症状が見られる。異物が大きい場合には、悪心、嘔吐、咽頭痛を伴うこともある。異物が原因となって消化管の閉塞、穿孔や膿瘍形成が起こった場合には、腹痛や発熱といった症状が見られる。

ⅴ 診断

 義歯の場合、レントゲン写真、CT画像に写るものは簡単に診断できる。

ⅵ 治療

 食道異物は穿孔の危険性があり、穿孔すると縦隔炎や大動脈破裂といった致命的な合併症を引き起こすために、内視鏡等で早急に摘出することが必要である。

Ⅶ その他

 異物誤飲のリスクファクターとして、乳幼児、高齢者、脳血管障害患者、義歯装着者、早食い等が報告されている。消化管異物による腸閉塞や消化管穿孔による腹膜炎での開腹手術は、異物誤飲を予防することで回避することができる。本人のみならず、周りの方々が注意することで、異物誤飲を予防することが大切である。異物誤飲が疑われるケースではできるだけ早急に医療機関を受診する必要がある。

(イ)縦隔炎

ⅰ 急性縦隔炎

 食道の穿孔、気管・気管支の穿孔に伴う感染症などが原因となる。進展が急速であり、予後不良となることが多い。

ⅱ 臨床所見

 食道穿孔の場合には、胸骨後方の激しい胸痛、ショック症状、発熱、悪寒戦慄、嚥下障害などを呈する。膿瘍を形成すれば周囲の縦隔臓器を圧排し、呼吸・循環不全に至ることもある。

ⅲ 診断・治療

 食道内視鏡検査に引き続いて臨床所見を呈するときには、診断は容易である。胸部X線所見で縦隔陰影の拡大がみられ、炎症所見を伴う場合には縦隔炎を疑う。食道や気管・気管支の穿孔によるものでは、縦隔気腫が認められる。  早急な抗生物質の投与とともに、絶飲絶食とする。軽症の場合には、保存的治療で軽快することが多い。

(ウ)縦隔気腫

ⅰ 臨床所見

 自覚症状としては、激しい咳嗽や嘔吐、排便時の力みなどに引き続いての胸部の不快感や圧迫感、胸骨背部を主体とした胸痛、呼吸困難、胸内苦悶などがある。

ⅱ 検査所見

 胸部X線写真正面画像では、縦隔内の空気が縦隔胸膜を外側に圧排することにより、心陰影の外側に沿ってほぼ並行に線状陰影がみられる。心臓と横隔膜の間に空気が入り込むと、左右の横隔膜が連続してみられるようになる。気管や大血管は、それらの周囲の空気の存在により、胸部X線写真で明確となる。胸部CTは、胸部X線写真で明らかな縦隔気腫の所見が認められない場合でも、詳細な情報が得られることが多いので有用である。

ⅲ 診断・治療

 急激な胸痛があり、皮下気腫を伴っていれば縦隔気腫と考えてよい。胸部X線所見や胸部CT所見により確診できる。重要なのは、縦隔気腫の原因を確定することである。

 気管・気管支や食道の穿孔による縦隔気腫の場合には、縦隔炎を合併し重症となることが多いので、外科療法の適応となる。

 したがって、
 医師または看護師は、高齢の患者は通常よりも誤飲のリスクが高く、食事中誤飲がないよう見守ることはもちろん、患者が何等かの痛みを訴え、誤飲が疑われる場合には、即時に対応すべき注意義務があるといえると思います。特に、義歯のような大きな異物を誤飲した可能性がある場合には、窒息死の危険や喉、食道、胃、肺等の器官を傷つけ、縦隔炎等を併発するおそれがあることから、レントゲン撮影又はCT検査等をして確認すべき医療契約上の義務を負っていたといえると思います。