弁護士 金﨑浩之


 日々、医療事件の仕事をしていると、どうしても事件と関係がある疾患の勉強が中心になってしまうのですが、医療事件を専門とする弁護士として、一度は内科学の本を通読しておきたいものです。仕事に関係しなくても、医学に関する興味も増しますし、新たな発見も生まれます。なんだかんだ言っても、医療専門の弁護士としての成長の早道は、医学を好きになることだと思いますから。

 ということで、最近通読し終わった「シンプル内科学」の中で、大変興味深い病気を見つけましたので、紹介したいと思います。直接、医療事件で問題となることはないと思いますが…。

 それは、

     精巣性女性化症候群

という病気です。

 その病気の内容を、ポイントを絞って要約すると以下の通りです。

1、ホルモン異常による先天性の疾患

2、ペニスは存在しないが、精巣は存在する(但し、腹腔内に隠れている)
 他方、乳房も通常の女性と同様に発達し、膣も存在する→外性器は女性

3、卵巣、子宮は存在しない。

4、声帯や性格も女性的になる。社会生活は女性として過ごしている。
※性同一性障害と混同しないように!

5、この患者がなぜ女性ではなく男性と定義されているのか?
→染色体は、XY染色体だから。


 
どうです?驚きませんか。

 この病気の人は、外見も性格も女性。乳房も膣もあるので、大人になれば、女性として男性と性交渉も何ら問題なく交わしているはずです。産まれた時も、産婦人科の医師は、”女の子”として認識したはずで、戸籍上も女性となっていると思います。
 精巣があると言っても、男性のように股間にぶら下がっているわけではなく、見えないわけですから、その人を周囲の人が女性と認識することに何ら問題はありません。

 でも、この人は男性なんです。

 なぜなら、染色体が男性であるから!

 何というミクロな話!

 確かに、男性にも女性ホルモンがあるし、女性にも男性ホルモンがある。そんなことは、医療事件専門の弁護士でなくても常識です。でも、染色体上は男性であるのに、ちょっとしたボタンの掛け違いでこんな事態になってしまうんですね。
 男と女の違いは、紙一重だという感じがしました。

 一体、男って何だろう、女って何だろうと考えさせられてしまう病気でした。