1 はじめに

 呼吸器の病態生理を考える際には、①換気障害、②拡散障害、③血流障害に分けて考えると頭の中で整理できます。
 今回は、この中の「換気障害」について述べたいと思います。

2 換気の指標

 換気障害とは、気道を通じて呼気・吸気を十分に行えない状態を指します。

 ここで重要なことは、肺の実質に何か疾患があるわけではなく、何らかの事情により呼気・吸気をしっかり行なえない点です。分かりやすい例は、気道の狭窄や閉塞です。肺自体に問題があるわけではありません。

 有効喚起量は、次の式で求められます。

 有効喚起量 = 1回換気量 × 換気頻度

 1回換気量が十分でも換気頻度が少なすぎれば十分な換気はできません。また、換気頻度が十分でも1回換気量が不足すればやはり十分な換気はできないでしょう。したがって、換気障害が生じている場合、少なくともこのいずれか一方に問題が生じているわけです。

3 拘束性換気障害と閉塞性換気障害

 この「1回換気量」と「換気頻度」に分けて考えるのは、拘束性換気障害と閉塞性換気障害を理解する上でも重要です。
 1回換気量の最大値を「肺活量」(VC)と言いますが、この肺活量が低下したものを「拘束性換気障害」と言います。また、「換気頻度」が減少して有効換気量を確保できない状態を「閉塞性換気障害」と言います。

 ちなみに、換気頻度に影響を与えるのは、吸気速度よりも呼気速度です。ご自身で深呼吸をして息を吐いてみればわかると思いますが、通常、吸気よりも呼気の方に時間がかかります。ラフに吸気時間と呼気時間の関係は1:2と言われています。したがって、換気頻度が減少している場合、多くは呼気時間に時間がかかっていることが原因となっています。

 では、換気障害が生じていることを確かめる指標は何でしょうか。

 低酸素血症になっているだけでは分かりません。低酸素血症は、換気障害だけではなく拡散障害や血流障害でも起こりうるからです。

 答えは、二酸化炭素(CO2)です。ご存じの通り、肺では吸気によって酸素(O2)を取り込み、呼気によって二酸化炭素(CO2)を排出しているわけですが、換気障害が起こると、血中の二酸化炭素の量が増えてくるわけです。
 血中の二酸化炭素が増えているかどうかは、動脈血二酸化炭素分圧(PaCO2)を見れば分かります。つまり、PaCO2が上昇していれば、換気量が低下していることになり、換気障害が疑われることになります。