(1)ATLとは何か?

 ATLは成人T細胞白血病(Adult T cell Leukemia)の略称で、白血病だけでなく、リンパ腫(Lymphoma)の形をとることもあるため,ATLL(成人T細胞白血病・リンパ腫)と呼ぶこともある。

(2)ATLの症状

①発熱・倦怠感、リンパ節腫大、肝腫大
②皮膚に結節、丘疹、紅斑、紅皮症等
③高Ca血症、LDH↑、可溶性IL-2受容体↑
④末梢血WBC↑(核が花弁状を示すT細胞)
⑤細胞性免疫低下、血清抗HTLV-1抗体(+)

など

(3)ATLの病型

①急性型

血液中に花びらの形をした核をもつ異常リンパ球が出現し、急速に増えていくものです。感染症や血液中のカルシウム値の上昇がみられることもあり、抗がん剤による早急な治療を必要とします。

②リンパ腫型

悪性化したリンパ球が主にリンパ節で増殖し、血液中に異常細胞が認められない型です。急性型と同様に急速に症状が出現するために、早急に抗がん剤による治療を開始する必要があります。

③慢性型

血液中の白血球数が増加し、多数の異常リンパ球が出現しますが、その増殖は速くなく、症状をほとんど伴いません。無治療で経過を観察することが一般的に行われています。

④くすぶり型

白血球数は正常ですが、血液中に異常リンパ球が存在する型で、皮疹を伴うことがあります。多くの場合、無治療で長期間変わらず経過することが多いため、数ヶ月に1回程度の外来受診で経過観察が行われます。

⑤急性転化型

慢性型やくすぶり型から、急性型やリンパ腫型へ病状が進む場合を急性転化型と呼ぶことがあります。この場合には、急性型やリンパ腫型と同様に、早急に治療を開始する必要があります。

(4)ATLの発症原因

ATLの原因となるウイルスはHTLV-1であり、これは地域内流行を示す珍しいウイルスで、主な偏在地は日本の西南地域(九州・沖縄地方)、カリブ海沿岸、中央アフリカなどである。
感染経路は主としてキャリアの母から子への経母乳感染であり、他に血液感染(輸血)、性感染(男性から女性へ)がある。母乳、精液、血液に含まれる感染リンパ球と非感染者のリンパ球が直接接触することで、感染が成立する。

(5)ATLの診断方法

①HTLV-1 抗体の検出(PA法、WB法、EIA法、IF法)が最も簡便。
②プロウイルスDNA検出(PCR 法)。
③ウイルス特異蛋白(抗原)検出(IF 法)。

(6)ATLの治療方法

①急性型・リンパ腫型では、多剤併用化学療法(LGS15療法など)を行う。
エトポシドなどによる単剤での化学療法もある。
また、若年者には、造血幹細胞移植を行う。

②慢性型・くすぶり型では、無症状ならば経過観察のみ
皮疹があれば軟膏やPUVAによる皮膚科的治療

③高Ca血症には、ビスホスホネート、生食輸液+ループ利尿薬

以 上