2 訴訟中盤

 訴訟の中盤ころまでは、以上の1のような展開が続きます。
 ところで、私の担当する事件の多くでは、医師の意見書を最初から出すことはしていません。事案についての医学的意見は、当然訴訟前に医師から聞いていますが、その意見を最初に証拠として出してしまうことには「手の内を晒す」怖さがあります。また、病院側が対抗する医師の意見書を出してきて意見書合戦になると、病院と患者では経済力や協力してくれる医師の数に差がありますから、患者が医師の意見書のために出せる費用が尽き、肝心かなめのところでもう医師の意見書をお願いできないということになると困るという怖さもあります。もっとも、個別具体性が強い事案の場合には、訴訟の終了まで何通か意見書が必要になるという可能性を踏まえて、最初から出すという判断も当然あります。
 最初から医師の意見書を出していない場合には、裁判所も、現場の医師であれば通常はどう判断するのか?というところを知りたいと思うようです。
 「原告は、この点に関しての医学的見解を、どのように提出するおつもりですか。」と質問されたとき、原告に与えられている選択肢としては、大きく分けて①私的鑑定意見書、②専門委員、③鑑定の3つがありうるでしょう(具体的にその人についてどうだろうか、ということを問題にしている以上は、「教科書類で十分に裏付けられているはずです。」とはなかなか言えません。)。
 それぞれをどのように考慮すべきかについては、次回に譲ることとします。

第3 次のステップへ

 つぎは、医学的意見の出し方について解説します。
 以下次回。

医療過誤に関する損害賠償の類型と思考過程・類型1「術中手技の過誤」シリーズ
(1)主張
(2)立証準備
(3)調査
(4)訴訟準備
(5)訴訟を起こしてから
(6)訴訟の中盤