1.意義 

 乳房固定術は、下垂した乳輪の位置を挙上する術式である、この術式では、余剰皮膚を切除するため傷が残るので、その実施にあたっては、本当にこの方法が必要か、ほかに傷の目立たない方法がないか慎重な検討が必要である。

2.手術適応

 バストの下垂、肥大。もっとも、授乳、加齢、痩せ型体型等によってバストの上半分が委縮してバストのボリュームが下半分にある乳房萎縮においては、豊胸術を行う。乳房下垂と乳房萎縮が混合している場合は、乳房固定術と豊胸術を同時に行う場合がある。

3.術式の選択

(1)乳頭、乳房下垂の最下点、乳房下溝の位置関係によって、様々な術式がある。上述のように、術式によっては、手術後に、時間の経過によって徐々に目立たなくなるものの、切開の傷痕が残存する場合があるため、下垂の程度や患者の希望を考慮したうえで、患者に対する説明等を含め慎重な選択が必要である。日本人の場合は、乳房の術後瘢痕が目立つことが多いので、できるだけ乳輪周囲のみ瘢痕が残るような方法で下垂の修正を行うのが望ましいとされている。

(2)下垂が比較的軽度な場合には、乳輪上縁の皮膚を三日月状に切除する三日月型切開や、乳輪周囲の皮膚を環状に切除・縫縮するドーナツ型切開が適応となる。

(3)また、上記を上回る場合には、内・外輪差をなくすために縦方向で余剰皮膚を切除する「縦型切除」や、乳頭・乳房下溝間距離を短縮するために新乳頭より7から8cm尾側を新乳房下溝とし、余剰皮膚を水平方向で切除する「逆T字型切除」が適応となる。もっとも、これらの術式では、乳房に縦の傷がつくという短所がある。特に黄色人種の場合、乳房下部の傷が目立つことが多い。

(4)さらに、下垂が高度な場合には、縦の傷を回避するために乳房下半の皮膚または皮膚と乳腺を切除する横型切除が適応となる。

参考文献
「形成外科」2011年増刊p229-232 ほか