概念

急速破壊型股関節症(Rapidly Destructive Coxarthropathy;RDC)は、多くは6か月~1年以内という比較的短期間の経過で股関節が急速に破壊される原因不明の疾患である。
病態は多様で、単一の独立疾患というよりは症候群として扱われることが多い。

発症初期から股関節の疼痛を生じる。破壊の進行に伴って股関節の疼痛は増強し、著しい疼痛のために歩行が障害される。大腿骨頭の1/3以上が破壊消失するに至っても炎症反応に乏しく、比較的可動域は保たれる。

臨床症状と病態

60~70歳以上の女性に好発(1997~2010年の間に研究対象とされた12例のうち男性2例、女性10例、平均年齢81歳との報告がある。)。
大半は片側例であるが、経過中に反対側に発生することもある。
発生頻度は比較的稀であるが、近年増加しているとされる。

診断

「1年以内の急速な関節破壊」というのが本症の前提である(亜急性類型では3年以内の場合もあり得る。)ことから、股関節痛の既往歴について問診することが必要であるが、本症の診断には画像所見が重要である。

     
  • 単純X線:破壊前と破壊後の比較ができればよいが、初診時のX線検査の時点で既に高度な破壊が生じていることも多い。骨棘形成や骨嚢胞といった所見は認められないことが多く、病期が進行するまでは単純X線のみでは診断が困難であることがある。
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  • CT:骨内の多発性嚢胞様所見、骨浸食像等が観察されることから、骨頭や臼蓋の破壊の程度が評価できる。
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  • MRI:著明な関節水腫と骨髄浮腫を認めることが多いが、本症に特徴的な所見であるとは言い難い。もっとも、本症と大腿骨頭壊死を鑑別するためには必須の検査とされており、本症を疑った場合には積極的にMRI撮影を行うことが期待される。

治療

人工股関節置換術(Total Hip Arthroplasty;THA)の適応である。骨欠損が多い場合には骨移植の併用を要する場合もある。
著しい疼痛と破壊性であることから、保存的加療の適応はない。

参考文献
・TEXT 整形外科学 第3版(株式会社 南山堂)
・今日の整形外科治療指針 第6版(株式会社 医学書院)
・標準整形外科学 第11版(株式会社 医学書院)
・昭和学士会誌 第73巻第1号22-28頁
・日大医誌 第70巻第1号3-4頁