元来、正常な血管内では、血管内皮の抗血栓性や血液中の抗凝固因子のはたらきにより、血液は凝固しないような仕組みをもっています。

 播種性血管内凝固症候群(DIC)は、さまざまな重症の基礎疾患のために過剰な血液凝固反応活性化が生ずるため生体内の抗血栓性の制御能が十分でなくなり、全身の細小血管内で微小血栓が多発して臓器不全、出血傾向のみられる予後不良の病気です。

 DICの確定診断には、一般的に1988年に改訂された厚生省(当時)研究班のDIC診断基準が用いられていますが、緊急時では血小板数・フィブリノゲン値の減少度、あるいはFDP値(フィブリン分解産物)が有用です。

 また、DICの準備状態を早期に把握することも重要で、これには凝固亢進状態を鋭敏に検出できるトロンビン・アンチトロンビンIII複合体(TAT)やプラスミン・α2プラスミンインヒビター複合体(PIC)、あるいはDダイマーなどの測定が有用です。

 DICの基礎疾患には、急性前骨髄急性白血病・前立腺がん肺がんなどの悪性腫瘍、・揚水塞栓などの産科的疾患、外傷など、さまざまな重症の疾患があります。

 これらの基礎疾患の悪化に伴い、生体内の抗血栓性の制御をはるかに超える大量の凝固促進物質(組織因子)が血管内に流入(出現)することがDICの原因と考えられています。

 悪性腫瘍(がん)細胞が産生し、胎盤・羊水中にも多量に含まれる組織因子は、敗血症の時にはエンドトキシン刺激により単球・内皮細胞に大量に発現することが判明しており、DICの原因物質であることが知られています。

弁護士 佐々木 将司