定義・分類

 有棘細胞癌は表皮有棘層のケラチノサイト(表皮角化細胞)の悪性化によって生じる代表的な皮膚がんであり、発症に有意な人種差が認められる(白人に比較すると日本人での発症頻度は少ない。)。有棘細胞癌には多くの場合、発生母地や前駆病変が認められ、3群に分類される。

第1群:有棘細胞癌を生じやすい局所的な準備状態
第2群:有棘細胞癌の前駆症状ないしはその早期病変
第3群:有棘細胞癌を生じやすい全身状態

 ボーエン病は、有棘細胞癌の表皮内がん(腫瘍細胞の増殖が表皮内に限局され、基底膜が保たれていて真皮内に侵入していない非浸潤性がん)であり、第2群に分類される。第2群は、異型ケラチノサイトが認められるものの、その増殖が表皮内にとどまり、真皮内への増殖・増殖に及んでいない状態である。

ボーエン病と転移

 ボーエン病の段階であれば、転移を生じる危険性は少ないとされる。
 しかし、ボーエン病が進行して腫瘍細胞の増殖が真皮内に及ぶとボーエン癌となり、転移を生じる危険性が高まる(なお、ボーエン癌も広義のボーエン病に含まれるが、区別するのが一般的である。)。

治療・予後

 治療は腫瘍の性質に左右され、治療法には掻爬と電気乾固、外科的切除、液体窒素を用いた凍結療法などがある。
 外科的切除の場合、病変が小さければ、辺縁から数mm程度離して全摘した後、直接縫合するが、病変が大きければ直接縫合が難しいため、植皮術や皮弁形成術を行う。 ボーエン癌に進行していなければ、予後は比較的良好である。

参考文献
・TEXT 皮膚科学(株式会社 南山堂)
・今日の治療指針2011(株式会社 医学書院)
・標準形成外科学 第5版(株式会社 医学書院)
・メルクマニュアル 第18版(日経BP社)
・一般社団法人 日本形成外科学会 ウェブサイト
・日本皮膚悪性腫瘍学会 ウェブサイト