弁護士  池田 実佐子

 

●脊椎分離すべり症、変性脊椎すべり症

=中高年以後では分離症なしに発生。腰部脊柱管狭窄症の原因になる。

 起床時、前屈作業後に腰痛と下肢痛。

 

●腰部脊柱管狭窄症の治療

ⅰ)神経痕障害:自然緩解傾向あり

 保存的治療が第1選択

 保存的治療無効例→手術適応

 手術=除圧術が基本、症例に応じ固定術併用

ⅱ)馬尾障害:自然緩解傾向なし

 有効な保存的治療少

 保存的治療無効例や病態理解し選択した症例→手術

 手術=除圧術が基本、症例に応じ固定術併用

 

●医学的知見に関する裁判例:東京地判H19.1.17

・脊椎すべり症手術を行った際の合併症

偽関節、神経脱落症状、固定術を行った隣接部に起こる病変によって腰痛などを生じる症候群が考えられるところ、神経脱落症状の1つに馬尾症候群がある。馬尾症候群は、すべり変形の整復を行わない場合でも、明らかな原因がない場合でも起こり得るし、術中の硬膜を操作することにより、直接的に神経を傷害した場合は、腰仙部の神経根を傷害し、広範囲の知覚障害を起こす可能性があるとされている。
 馬尾症候群が疑われたときは、適時MRIや脊髄造影・脊髄造影下CT検査を行い、必要と判断されれば神経減圧手術が必要となるも、同手術を行うタイミングについては議論が残されている。神経への圧迫が認められない場合で、神経脱落症状が軽くすべり変形の整復もわずかであれば、そのまま経過を観察するのが妥当であるとされている。
・後方進入腰椎椎体間固定術(「PLIF」)の手順
①硬膜及び神経根の除圧を十分に行う。
②椎間板繊維輪を切除し、整復用ロッドを椎間に挿入し、椎間高を開大することですべり  

による変形を矯正する。
③上記矯正した位置で、pedicle screw-plateを設置し、固定を完了 

する。
④整復用ロッドをガイドとして円筒型ノミを打ち込み、上下の椎体を均等に削って移植骨 

の母床を作製する。
⑤出来上がった母床に人工骨(硝子セラミック製、アパタイト製)を打ち込む。
⑥突起から作製した円盤状の自家骨で蓋をして手技を終了する。
・PLIFによる手術時間及び術中の出血量

(ア)手術時間
   1椎間固定例(20例)で2時間40分から4時間の間(20例平均3時間15分)
   2椎間固定例(11例)で3時間20分から5時間の間(11例平均4時間10分)
(イ)術中出血量
   1椎間固定例(20例)で140mlから1700ml(20例平均752ml)
   2椎間固定例(11例)で370mlから2200ml(11例平均1071ml)
・PLIFの手術効果

滑り変形の度合いにおいては、平均矯正率が66.3%

症状については、JOAスコアを基準とした場合、平均改善率は77.5%

 

以上