弁護士  池田実佐子

*京都地判平成20年4月30日

GVHD(移植片対宿主病)に罹患していた小児に全身麻酔を施行するにあたり,挿管困難,換気困難の予見義務違反,ラリンゲルマスク及び気管支ファイバースコープの使用義務違反,輪状甲状間膜穿刺の実施義務違反,気管切開の判断の遅延があったとはいえないとして同各義務違反を否定。他方、上記全身麻酔を施行するにあたり,動脈血ガス分析検査をすべきであり,また,麻酔科医が直接問診し,患児及びその家族に麻酔の説明をすべきであったとして,同義務違反を理由とする損害(慰謝料)賠償請求を一部認容した事例

 

気管挿管をするにあたっては事前に以下のことに注意すべき
・側頭下顎骨関節機能
・舌の大きさと可動性
・下顎の形成不全の有無

・首の太さ,長さ,頸椎の可動性と屈曲,伸展の障害の有無
・心肺機能(呼吸器系,心循環系)
挿管困難を伴う症候群や疾患の有無
一般に

顎が小さい人,口が小さい人,太っている人,首が太く短い人,歯がでている人,下顎や口腔の手術歴のある人,リュウマチを有する人

→術前から喉頭展開によって声門が直視できないこともあって気管挿管が困難

 

麻酔のための術前評価など

呼吸器系及び循環器系に重点を置いて行う必要
SpO2の検査(パルスオキシメータによる酸素飽和度検査)

非侵襲的検査で酸素化の状態評価はある程度可能であるが,動脈血中の二酸化炭素分圧(PaCO2)の評価ができない。

正確に患者の呼吸・循環の状態(酸素化能の予備力など)を正確に把握するための方法

⇒動脈血液ガス分析(動脈血中の二酸化炭素分圧〔PaCO2〕や酸塩基平衡の状態などが判明)がある。
気管挿管をするか否かは動脈血ガス値で決める旨記載した文献もある。


酸素化能の予備力が低い患者の全身麻酔管理

=術後の呼吸管理計画を立てて手術に臨まなければならない。

以上