弁護士 池田実佐子

●発症部位による区別

盲腸癌,結腸癌(上行結腸癌,横行結腸癌,下行結腸癌,S状結腸癌),直腸癌

 

●症状等

腫瘍からの出血による下血,血便,貧血,便柱への血液の付着,癌で腸の内径が狭くなることによって生じる便秘,下痢,便柱の狭小,腹痛など  

 

●発見方法

大腸内視鏡検査や注腸造影検査など,大腸を直接調べる検査により発見

間接的な方法:

便潜血検査や腫瘍マーカーの測定

これらの検査をきっかけとして上記の大腸内視鏡検査等が行われ,大腸癌が発見されることも

大腸癌が進行している場合:

腹部超音波検査やCT検査で肝転移が発見され,その原因を探索する過程で大腸癌が発見されることも

*大腸癌の肝転移の「ダブリングタイム」

=細胞1個が2個,すなわち倍になるために必要な期間

腫瘍マーカーダブリングタイム(血中の腫瘍マーカーの数値が2倍になるのに必要な期間)と,強い相関関係

金沢大学がん研究所外科教室の報告

大腸癌肝転移症例のCEAダブリングタイム

=10日から112日の間と広範囲

平均は57.8日±35.4日(同教室の別報告では68.2日±33.4日)

高分化型腺癌の場合=77.2日±36.3日

低分化型腺癌の場合=19.0±7.8日

 

●治療方法と予後

癌の進展状況により,内視鏡治療,外科手術,抗癌剤療法(化学療法)など選択

進展状況の判断:Dukes分類又はステージ分類使用

Dukes分類

 DukesA:癌が大腸壁内にとどまるもの
 DukesB:癌が大腸壁を貫くがリンパ節転移のないもの
 DukesC:リンパ節転移のあるもの
 DukesD:腹膜,肝,肺などへの遠隔転移のあるもの
ステージ分類

Dukes分類とわずかに異なるが,ステージ0及びステージ1がDukesAに,ステージ2がDukesBに,ステージ3がDukesCに,ステージ4がDukesDに相当するものとされている。(甲B14の2)

 

ⅰ)DukesAないしDukesCの場合
 DukesAで,癌が粘膜にとどまる場合や粘膜下層への浸潤がわずかな場合:内視鏡治療

それ以外:外科手術

*外科手術:癌が存在する部位の大腸の切除及びリンパ節の郭清

術後には抗癌剤の投与が一定期間継続されることも
 *国立がんセンター発表

大腸癌は,早期癌であれば,ほとんど治癒

進行癌でも,各分類ごとの5年生存率は,

DukesA=約95%

DukesB=80%

DukesC=70%
 ⅱ)DukesDの場合
  ア 外科的切除
  大腸癌の血行性転移=肝転移,肺転移,脳転移,骨転移など

肝転移や肺転移をしている場合でも,癌細胞のすべてを切除可能なら根治が望める

肝切除後の5年生存率が20%ないし60%

肺切除後の5年生存率が30%ないし60%

⇒切除可能な症例であれば,外科手術が第1選択

 *肝転移,肺転移の手術適応の原則

①原発巣が制御されている

②転移巣を遺残なく切除できる

③多臓器転移がないか又は制御可能

④切除臓器機能が十分に保たれている

特に肝臓は,理論的には多発性であったとしても手術適応の可能性

もっとも,実際の肝転移の手術適応の判断は,多くの医療機関では,数個程度で手術適応がないと判断されるのが通常だった 

イ 熱凝固療法

熱によって癌組織を壊死させる治療法で,マイクロ波凝固療法,ラジオ波焼灼療法がある

原則肝癌及び転移性肝癌に対し,肝切除より侵襲の低い治療として肝切除の代わりに行う 肝切除と併用されることや肝切除不能の場合に施行されることも

ウ 化学療法
癌の切除が不能の場合,主に行われる治療

FOLFOX療法やFOLFIRI療法など

生存期間の延長を目的

著明な副作用:骨髄抑制,下痢,食欲不振,脱毛等

 

●大腸癌の肝転移患者の自然予後

肝両葉の広範囲に転移した患者=平均生存期間3.1月

肝の1つの区域または葉に限局した転移巣が幾つかある患者=10.6月

肝に孤立した転移巣がある患者=16.7月


以上