1 医学博士になるには

 医学博士になるためには、医学系の大学院に進学して、そこで4年間の博士課程を修了するとともに、当然ですが博士論文を完成させないといけません。
 通常は、医学部又は歯学部の卒業生が進学するのですが、実は、医学教育のバックグランドがない人でも、進学することは可能です。

 どこの大学院でも受験資格はほとんど変わらないと思いますが、医学部・歯学部出身者ではない人が、医学系の大学院に進学するためには、次の受験資格を充たすことが一般的に要求されております。

本研究科において、個別の入学資格審査により、医学部医学科又は歯学部を卒業した者と同等以上の学力があると認めたもので、24歳に達した者

 したがって、医学部等出身者でない人が医学系の大学院に進学したい場合には、その大学院が実施している入学資格審査を受け、それにパスしないといけません。それにパスして初めて願書を提出する資格(つまり、受験資格)が得られるという仕組みになっています。

2 医学博士の弁護士は医療裁判で有利か

 医師免許を取得している弁護士のところでも書いたように、医学教育を実施する専門の教育機関で学んでいるわけですから、裁判業務に伴う範囲でしか医学文献にアクセスしない通常の弁護士に比べれば、断然有利です。うちにも、ひとり医学博士の学位を持つ弁護士が在籍していますが、やはり問題点の把握や医学文献の調査能力も格段に高いです。

 但し、当たり前ですが、医師ではないので臨床経験があるはずはなく、臨床の第一線で活躍している臨床医の協力を得ないと、なかなか裁判では有利に戦えません。したがって、裁判の勝敗を最終的に左右するのは、医療事件に対する情熱ではないかと思います。

 ところで、これは私の医療問題に取り組む基本的な姿勢としての個人的な考え方ですが、医学の専門教育が弁護士にとって必ずしも必須のものではないとしても、医療事件に真剣に取り組もうという覚悟がある法律事務所ならば、医療専門の若手弁護士の育成の一環として、医学系の大学院に進学させて勉強させるということを制度化してもよいのではないかと思っています。

 多少仕事が犠牲にはなりますが、たまたま医師免許を有している人が弁護士になるケースとは異なり、法律事務所として医療の分野を強化するという強い意志の表明でもあります。やる気のある情熱的な専門家が育つと思います。実は、医療機関側の法律事務所ではこの傾向が出始めています。患者側の医療事件を手がける法律事務所では、まだ組織的にこれに取り組んでいるところはなさそうです。

 弁護士法人ALGでも、今後、医療専門の弁護士を多数育成・輩出するために、、若手を医学系大学院に進学させて、医学の専門知識を深めるといったことに真剣に取り組んで行きたいと思います。