興行収入10億円、といった映画「カメラを止めるな」が盗作疑惑で揺れています。
 舞台「GHOST IN THE BOX」の設定や構想と似ている、というトラブルのようです。

著作権とはどのような権利か

 そもそも著作権とは、「著作物」に関する権利を言います。
 ここで著作物というのは、あくまで「自分の考えや気持ちを、文章、絵、音楽などで表したもの」を意味することから、単に頭の中にあるアイディアは外に表現されていないので著作物にはあたりませんし、文章であっても「おはようございます。今日は晴れています」といったものは、考えや気持ちが表れていないので著作物にあたりません。
 また、仕事の効率的なやり方なんかも、ノウハウに過ぎず、著作物ではありません。

 映画や書籍などで言えば、頭の中で描いた構想やあらすじ、設定、物語の背景なんかは、アイディアのレベルに過ぎないので著作物にはならず、もちろん著作権も発生しません。

「原案」と「原作」の違い

 まず、今回、「原案」と「原作」の表現の違いで騒ぎが発生していますが、「原案」も「原作」も法律用語ではないので正しい騒ぎではありません。
 もっとも、「原案」は、日本語の意味合いとしては、アイディア、構想といったものに近いものであるから、言ってみれば「アイディアを出した人」の意味しかありません。
 そのため、「原案」と書かれれば著作権が発生していないことを前提とするので、著作権侵害もへったくれもないということになります。
 これに対し、「原作」とは、要するに、映画化される前の「脚本」や「小説」や「マンガ」を意味するものであるから、「原作」を創作した人の許可なく、勝手に映画化すれば、「著作権」の一つである「翻案権(既に存在する著作物を翻訳したり、編曲したり、脚色したり、映画化したり、別の表現にすること)」を侵害することになります。

 要するに、告発者は、著作物でもなく著作権侵害もへったくれもない「原案」とクレジット表記されたから怒っているのでしょう。

 ところで、「原作」である、小説や脚本などが存在していたのであれば、告発した人は”原作者”、つまり「著作権者」ですから、この人の許可なく映画化すれば「翻案権」侵害となります。
 この意味では、「原作」か「原案」は、とても重要なポイントです。

著作権侵害が認められる場合

 さて、著作権侵害が認められる場合の損害額ですが、とんでもなく簡単に言うと、「映画の興行収入のうちの儲かった分」が損害と推定されます。
 すなわち、10億円から制作費300万円と興行・配給料を引いた額が損害です。
 著作権侵害が事実なら、とんでもない損害額になりそうです。

 もともと、演劇があったとのことですが、「演劇」は、その”実際に演じている舞台”自体が著作物ではなく、その「脚本」が著作物と考えられています。したがって、「脚本」を作成した人が著作権者です。
 そして、脚本を上演するにはもちろん、「上演権」という権利をもっている著作権者の許可が必要になりますし、映画化するのであれば「翻案権」という権利をもっている著作権者の許可が必要になります。
 今回の問題は、まず、「脚本」を見て、今回の映画とどこまで似ているか、依拠しているか、を判断することになるでしょう。

 繰り返しになりますが、構想やあらすじ、設定、物語の背景なんかを真似ていただけでは、何の著作権侵害もありません。