先日、長崎県対馬市の観音寺から盗まれた仏像について、韓国の裁判所が、韓国の「浮石寺」という御寺へ引き渡すよう韓国政府に命じる判決を言い渡したというニュースがありました。
 この問題について、テレビのコメンテーターが適当なことを言っているので糺したいと思います。
 以下のとおり、法律や条約を理解すれば「~べきである」、「~はずである」という発言が、実に恥ずかしいものであるかが理解できます。

 まず、日本と韓国との間には「犯罪人引渡しに関する日本国と大韓民国との間の条約(平成14年6月21日効力)」があります。
 この条約は、例えば、ある国で罪を犯した人物が本国へ逃げてしまったような場合に、その「逃げてしまった国」に対し、その人物の引渡しを求めることができるというものです。
 もちろん、実際に引渡しを認める場合には、様々な条件をクリアしなければならず、これらの引渡しの請求は、いわゆる外交ルートを通じて行うことになります。
 そして、この条約は、人の引渡しだけではなく、例えば「盗まれた物」などのように「犯罪行為の結果得られた者」や、「偽造された文書」などのように「犯罪の証拠」についても規定しています。
 具体的には、上記の条約第13条第1項に、「引渡しが行われる場合において、犯罪行為の結果得られた又は証拠として必要とされるすべての物は、請求国の求めのあるときは、被請求国の法令の範囲内において、かつ、第三者の権利を十分に尊重し、その権利を害さないことを条件として、これを提供するものとする。引渡しを求められている者の逃走によりその者の引渡しを行うことができない場合にあっても、同様とする。」と規定されています。

 また、盗まれた「仏像」が「文化財の不法な輸入、輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約(平成14年12月9日効力)」に規定される「文化財」なら、この条約に基づいて返還を求めることができる場合があるかもしれません。