先月28日、両親によって車から降ろされたあと行方不明になっていた田野岡大和君(7)は、6月3日の朝になって陸上自衛隊演習場内の宿舎で無事保護されたようです。
 この北海道置き去り事件は、行方不明から6日ぶりに大和君を発見したことで解決をみましたが、インターネットでは、「見つかった状況が不自然」といった違和感をもった人もいるようです。
 ともあれ、大きな怪我や病気もなく無事見つかったのは何よりです。

 ところで、今回、両親は「しつけ」として大和君を「置き去り」にしたようですが、「しつけ」なら何でも許されるのでしょうか?

 まず、法律はどうなっているのかといいますと、民法822条が、「親権を行う者は、第820条の規定による監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」と定めています。
 要するに、監護(子供を監督し保護すること)と教育のためであれば子の身体や精神に苦痛を加えるような懲罰手段をとることができるというわけです。
 ちなみに、この条文、最近(平成23年改正)までは、「親権を行う者は、必要な範囲内で自らその子を懲戒し、又は家庭裁判所の許可を得て、これを懲戒場に入れることができる。」として、「懲戒場」なる施設に子供を突っ込むこともできると規定していました。
 しかし、実際には、47都道府県どこにも「懲戒場」など存在せず、意味のない条文だったので改正により削除されることとなりました。

 この「監護及び協議くに必要な範囲内」での「身体や精神に苦痛を加える懲罰手段」ですが、当然、傷害罪や脅迫罪など、他の法律に触れるようなものであってはいけません。当たり前です。
 そして、児童虐待の防止等に関する法律は、「児童への虐待」を禁止していますので、これらの懲罰手段が「虐待」にあてはまるようであれば、そもそも「しつけ」でも何でもありません
 ここで「虐待」とは、暴行やわいせつ行為、著しい暴言といったわかりやすい虐待のほか、著しい心理的外傷を与える行為、著しい減食なども虐待としています。
 さらに、興味深いことに「長時間の放置」も虐待の一つとしています。

 このような理解を前提に今回の事件を見てみると、両親の話では、「他人や車に石を投げていたので、しつけの意味で、午後5時ころ、林道沿いの山林に一人きりにした」後、「車で数百メートル走り、約5分後に迎えに行った」とのことです。
 これが事実なら、「長時間の放置」にはならなそうなので、虐待ではなさそうです。
 もちろん、ニュースである教育評論家が騒いでいたような「遺棄罪」なんかが成立するようなこともありません。

 事件後、大和君は父親に「許すよ。お父さんが優しいから許す」と話しているようです。結局のところ、愛情なくして身体や精神に苦痛を加えれば虐待ですし、常日頃からの”線”としての愛情があり、”点”において身体や精神に苦痛を与えるのが「しつけ」というものではないでしょうか。