先日、人気アイドルグループ「嵐」のコンサートで、チケット購入者との同一性を確認するため、「顔認証」による本人確認を取り入れたことが話題になっていました。
 嵐のチケットは、日本一入手困難とされているようで、通常の販売ルートで入手できなかった人が頼るのが、「チケットキャンプ」などのインターネット上のチケット売買サイトなのですが、1枚、約1万円のチケットが数十万円で売買されることも常態化しているとのことです。

 ところで、コンサートやイベント会場、プロ野球が行われる野球場近くには、昔から「チケットあるよ、チケットあるよ、余ってるチケット買うよ、余ってるチケット買うよ」とダミ声で話しかける、いわゆる”ダフ屋”と呼ばれる方々がたくさんいました。
 こういった行為は、東京都であれば、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という法令によって、6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられることになります(同条例2条、8条1項1号)。

 では、「チケットキャンプ」などのインターネット上のサイトを利用してチケットを売ることも、ネット上の”ダフ屋”として罰せられるのでしょうか
 まず、法文上は、「何人も、公共の場でコンサートチケットなどを不特定の者に転売したり、転売目的で購入したチケットを公共の場で転売してはならない」とあり、前述のように、コンサートやイベント会場周辺で転売することを想定しています。したがって、「ネット」は仮想空間であり、物理的な「場」ではないことから、直接的には適用がないのかもしれません。

 もっとも、例えば、ネット上でチケットを売買するとしても、実際には、コンサートやイベント会場周辺で現金とチケットを交換することもあるでしょうから、この場合、”ダフ屋”行為に該当してしまうと考えることもできます。
 ただし、この法令は、あくまで「初めから転売目的で購入し、転売する」という行為を禁止しているのであって、「当初は行くつもりだったけど、後から用事ができていけなくなったので転売する」行為は禁止していません。
 要するに、「本当は行くつもりだったんです」と言い訳すれば、処罰されることはなさそうなのです。

 しかし、同じコンサートやイベントのチケットを大量に購入して転売したり、利益を得ることを目的として高値で出品したりすると、「本当は行くつもりだったんです」という言い訳は通用しません。
 この場合は、6カ月以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意が必要です。

 以上が「法令」上の話ですが、各コンサートやイベントでは、例えば、ジャニーズ事務所なんかでは、「会員規約では、不正な売買 ・ 転売 ・ 譲渡の禁止、会員番号の貸与、代理申込み、および 代理申込み依頼を禁止しています。 ダフ屋行為やインターネットオークション等の不正売買を発見した際は、厳しく対処しています。 正規販売ルート以外の売買行為で入手されたチケット は、すべて営利目的と判断させていただきます。 」とするなど、主催者側がチケットの転売について厳しく禁止しているようです。

 なお、たまに「偽造チケット」が出回ったりもするようですが、これは言語道断です。

 実は、コンサートやイベントのチケットは、「コンサートやイベントを見ることができる」という権利が表示された「有価証券」ですので、これを偽造した場合は、有価証券偽造罪として3カ月以上10年以下の重い懲役刑が科されます。

 言われ尽した文句ですが、周りに、違法な方法でチケットを転売したり、偽造したりしようとしている”輩”がいるなら、そのコンサートやイベントの出演者やアイドルの名前を出して、「そんなことして、あなたの好きなアイドルが喜ぶと思う?」といったように忠告するのが一番です。