4月16日、日本共産党の香西かつ介という方が、「昨日の演説会は会場からあふれかえる550人の方に足をお運びいただきました。募金は37万円も。熊本の被災地救援、北海道5区補選支援、党躍進のためにありがたく使わせていただきます」とツイートしたことについて、
「火事場泥棒か?なぜ全額被災地に送らない?」
「なぜ全額熊本におくらないのか?共産党の考え方理解できん。」
「募金詐欺??」
といった批判が殺到したことがニュースになっています。

 また、消費者庁によると、平成23年の東日本大震災の際、
「市役所の職員を名乗り、義援金の振り込みを依頼する電話があった」
「社会福祉関係団体を名乗り、義援金の訪問集金を行うという電話があった」
「オホーツク海のカニを半額で買わないか。売上金の一部を義援金にする」
といった相談が多くよせられたとのことです。

 実は、この手の”募金詐欺”は、街頭で「日本赤十字社」や報道機関を騙ったエセ募金や、自然災害をネタに「〇〇復興支援」を名乗ったり、また、病気の子供をネタに「〇〇ちゃんを救う会」を名乗ったりと、エセ募金が後を絶ちません。
 (なお、香西かつ介という方のことを挙げているわけではありません)

 では、こういった”募金詐欺”は、どういう犯罪を構成するのでしょうか?

 この点、刑法246条は、「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」とし、いわゆる「詐欺罪」を規定しています。
 ここで、「人を欺く」ということは何かですが、学術上は、「相手方を錯誤に陥らせ財物を処分させるような行為をする」ことを言います。
 要するに、「相手にウソの情報を伝え、相手が本当のことを知っていたら、そうはしなかったであろうというようなこと(財産の交付)をさせる」ことです。

 ”募金詐欺”の場合、本当は〇〇に使うにもかかわらず、「△△のために使います」といったウソの情報を伝えて募金を受け付け、その際、相手が「△△に使ってくれると思って募金したのに、〇〇に使うと知っていたら、そもそも募金なんてしなかったよ」と思うことが当然というような場合には、「人を欺く」ものとして、詐欺罪が成立することとなります。
 こうしてみると、本当は政治活動費に使うのに「熊本の困っている人のために」といった情報を伝えて募金を集めるのも問題になりそうですね。

 ところで、ある人が”募金詐欺”で通行人から100万円を集めたとします。
 この場合、「通行人を欺いて100万円を集めた」ことに対する詐欺罪が成立するでしょうか?
 実は、これまで、詐欺罪は被害者と被害ごとに成立するから「被害者」と「被害額」を特定しないと刑事裁判で有罪にできないと考えられてきました。
 要するに、誰が被害者で、幾らの被害が発生したのかが立証されない限り有罪にならないということです。
 しかし、募金は不特定多数から10円、100円といった少額の金銭を集めるものなので、”募金詐欺”であることがバレたとしても、いつ、誰から、幾らをだまし取ったか(募金箱に入れてもらった)なんて特定しようがないわけですし、仮に、被害者の一人を探し出して、「〇月〇日のAさんからもらった募金が詐欺である」と特定したところで、被害額はせいぜい10円、100円程度なので、重い罪を科すこともできません。

 もっともこれでは”募金詐欺”し放題というトンデモない世の中になってしまうので、最高裁判所は平成22年3月17日、「被害者を募金者多数とし、被害額を募金で集めた総額として、募金の方法や期間、場所などを特定すれば、全体として詐欺罪が成立する」と判断しました。
 このため、今では”募金詐欺”はこれまでより逮捕されやすく、さらに、重く処罰されることになっているようです。

 ”募金詐欺”は、お金だけでなく、「誰かのためになるなら」という人の良心も盗んでしまう卑劣な犯罪です。人の心まで盗むのは国際的な大泥棒の孫以外許せません。