リオ・オリンピックのバドミントン男子代表選手候補の桃田賢斗選手や、ロンドン・オリンピックに出場した田児賢一選手が違法カジノ店に出入りしていたことが注目されています。
 同じ福島県出身(中学より福島県富岡町に居住)なので注目していたのですが、事実、罪を犯していたとのことであれば残念です。

 ところで、この違法カジノに出入りしていたという2人の選手ですが、今後、逮捕されるのでしょうか。

 まず、現行刑法では、賭博をした者もさせた者も犯罪であるとされており、「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する(185条)」とされています。立派な犯罪であることは確かです。
 なお、185条のただし書きには、「一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは(賭博罪は成立しない)」とありますが、過去の判例によれば、「現金」は「一時の娯楽に供する物」に該当しないということなので、1円でも賭けたらアウトと理解してください。「一時の娯楽に供する物」とは、「負けた人が、昼飯をおごる」、「タバコ数本を出し合い、買った人がもらえる」といったものにすぎないようです。

 もっとも、実際に逮捕されて刑事裁判になるかどうかという点では、「違法カジノで(ブラックジャックなどを)遊んだ=逮捕・有罪」というわけにはいかないようです。
 なぜなら、賭博罪として刑罰を科す(刑事裁判で有罪にする)ためには、当然、「賭博をした」ことについて立証しなければならないのですが、賭博をしていたかどうかはその場(違法カジノで、まさに、賭博を行っている現場)をおさえない限り、立証しようがないからです。
 たとえ、後から実際に2人が通っていた違法カジノに行って「2人は違法カジノに来ていたか?」と聞いたところで、「知らん」と逃げられるのがオチでしょう。

 では、この2人のように「違法カジノで遊んでました。ごめんなさい」と自白している場合はどうでしょうか。
 実は、その場合であっても、憲法38条3項は「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない」と規定し、刑事訴訟法も「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない(319条2項)」と規定しているので、「自白」だけではダメなわけです。

 このように、賭博罪については、「現場」をおさえられない限り逮捕されることはほとんどないということになりそうです(良し悪しは別として)。
 例えば、平成10年11月、漫画家の蛭子能収さんが賭博罪で逮捕されたことがありますが、この時も歌舞伎町のマージャン店で賭けマージャンをしていたところを、捜査員に「ガサ入れ」されて”御用”となったようです。まさに「現場」をおさえられたようです。もっとも、この時は、警察に「暴力団関係者が賭博をしている」との通報(実際には暴力団関係者はいなかった)があったから踏み込まれたといった情報もありますので、高田馬場付近で学生がマージャンをやっている時に、必ず踏み込まれるかどうかはまた別の問題です。

 このように見てくると、2人のバドミントン選手が逮捕されることはなさそうです。しかし、試合への出場停止など重い「社会的制裁」をくらっていますので、2人も十分反省しているのではないでしょうか。